News:学生
2015年7月1日号
「サンファルコン2」が大空へ
【KAU&東海大工学部】
ソーラー無人飛行機、第2ステージへ


サウジアラビアのキング・アブドゥル・アジーズ大学(KAU)と東海大学工学部が協力して進めているソーラー無人飛行機の開発プロジェクトが、5月30日に群馬県太田市の利根川河川敷で翼幅7.6メートルの新型機「サンファルコン2」の試験飛行を行った。両大学が協力し、5日間昼夜連続飛行できる機体の実現を目指し2012年にプロジェクトがスタート。13年には翼幅3.7メートルの「サンファルコン1」の試験飛行を成功させ、飛行データの収集に取り組んできた。今回の機体は、その成果をもとに1年ほど前から開発してきたものだ。試験飛行には両大学の教員と東海大の学生約20人が参加。鈴木貴之さん(工学部4年)のラジコン操縦で機体が大空に飛び立った瞬間、全員から大きな歓声がわき起こった。機体の設計・製造に挑んだ学生有志約20人の挑戦の日々を追った。

試験飛行、相次ぐ課題に挑む

学生たちが「サンファルコン2」の開発を始めたのは1年ほど前。工学部の平岡克己教授や福田紘大准教授、情報教育センターの新井啓之講師の指導のもと「サンファルコン1」で蓄積したデータを生かし、より長時間飛び続けられる大型の機体のコンセプト考案から始めた。

KAUとも相談した結果、安定性が高いことから胴体が2つ並んだ「ツインブーム」を基本の形状に、軽くて丈夫なバルサをメーンの部材に使うと決定。目標とする発電量を得ながら、できる限り軽量化できるようにと、太陽電池を搭載するパネルの量をギリギリまで絞り込んだ。

「ツインブームのソーラー飛行機は前例が少なく、文献を見ても参考になるものがほとんどない。シミュレーションの結果を参考にしながら自分たちで考えなければならない部分が多かった」と設計を担当した守屋洋翔さん(大学院工学研究科1年)は振り返る。学生たちは、KAUの学生や教員と定期的にインターネット電話を使って打ち合わせを重ね、一つひとつ課題を解決し、設計図を完成させた。

製造過程で苦戦徹夜覚悟の日々
昨年の秋ごろから機体の製作に取りかかったが、具体的な部品の選定や細かい作業に悪戦苦闘の日々が待っていた。電気回路を担当した相良陽介さん(同)は、「考え方は合っているはずなのに思うように回路が動かなかったり、ハンダがつかなかったりの連続。問題の山に押しつぶされそうになった」と苦笑する。植田裕子さん(工学部4年)は、「部材は1世龍犬い盖されない。想像以上に細かい作業に、途中で何を作っているのかわからなくなることもあった」と振り返る。

5月30日の試験飛行直前には、ほぼ徹夜の作業飛行の当日も必死で作業を続け、夕方近くになってようやく飛行に成功。青空に白い機体が翻った瞬間、一様に安堵の笑顔を浮べていた。「前例のない取り組みに、よくここまで頑張ってくれた」と平岡教授。KAUのユーセフ・A・アル― トゥルキー研究部長も、「素晴らしい成果を上げてくれた皆さんに敬意を表します」と学生たちをたたえていた。

今後は機体の改良を重ねながら、サウジアラビアで入手できる部品を使って製造する方法の検討を続けていく。12月にはKAUの学生とともに、改良型の機体を完成させる予定だ。

 
(写真上)大学の研究成果と学生たちの経験が詰まった機体とともに
(写真中)晴れ渡る大空に舞い上がる「サンファルコン2」。尾翼を逆Vの字型にすることで、主翼の後ろにつけたプロペラの効力が高まるよう工夫されている
(写真下)真剣な面持ちで作業にあたる学生たち