News:教育
2015年8月1日号
1000本のひまわり咲かす
【教養学部芸術学科デザイン学課程】
介護施設の壁に彩りを 個性豊かな作品が完成

教養学部芸術学科デザイン学課程の学生が、神奈川県秦野市の医療法人社団佑樹会「介護老人保健施設 ひまわりの里」が主催する「ひまわり壁画プロジェクト」に協力。同施設の1階部分にある幅約50メートル、高さ約3.8メートルのコンクリート壁面を1000本のひまわりの絵で彩る活動を展開してきた。7月6日から14日には施設近隣の南が丘小学校の全児童とともにワークショップを実施し、壁画を完成させた。

「2階からは空が見えるけれど、1階は壁しか見えなくて寂しい」。施設利用者や職員の声が、プロジェクト発足のきっかけだった。立案者でひまわりの里の浦野信さんは、「美術館のように額に入ったひまわりを描きたいと思い、芸術学科のある東海大学に協力をお願いしました」と振り返る。

依頼を受けて、文部科学省の平成25年度「地(知)の拠点整備事業」に採択を受けている東海大学の「To-Collaboプログラム」が共催し、デザイン学課程の池村明生教授が参画。現地を視察した池村教授が壁全体に描くことを提案した。

その後、秦野市教育委員会を通じて南が丘小の児童約700人にもワークショップへの参加を依頼。小学生でも描きやすいようにと、池村教授の提案でスタンピング(型押し)技法を用いることを決め、ゼミの3年生13人を中心に4月ごろから道具の開発や背景画のデザインなどの準備を進めてきた。

手づくりスタンプで笑顔のワークショップ

「いちばん時間がかかったのはスタンプの素材選びだった」とリーダーの滝澤悠さんは振り返る。「押しやすいのは?」「色がきれいに乗るのは?」と何度も話し合い、素材を変えては試作を重ねた。「花の中心となる丸い部分はコルク素材を、花びら部分はカーペット素材を使用しました。でも実際にコンクリート壁には試せなかったので(笑)。うまくいくのか、心配もありました」

ワークショップ期間中は、大雨に見舞われた日も炎天下の日もあったが、学生たちは授業の合間を縫って、1日4クラスずつの児童たちを交代で指導した。「最初はスタンプを使うたびに洗っていたのですが、雨にぬれたときに壁から塗料が垂れてきてしまった。アクシデントがありながらも改良して進めていきました」と滝澤さん。

児童たちの個性が出るようにスタンプは大きさを変えて何種類も作った。松尾彩香さんは、「男の子と女の子で押し方が違うし、高学年になるほど花びらの枚数や色の向きなどを工夫していた。個性豊かなひまわりが次々できた」と語る。

施設には連日、児童と学生たちの楽しそうな声が響いた。施設利用者たちも部屋の中から笑顔で眺め、中には外に出てきて輪に加わる姿も。ひまわりの里の事務局長・盒狂信さんは、「学生や児童たちの楽しそうな姿がそのまま絵になったような、すてきな作品になった」と喜んだ。池村教授は、「学生にとってはこんなに大きな壁に作品を描くことも、多くの子どもたちと接することもまたとない機会。いい経験を積んでくれたと思います」と続けた。

最後に、参加した学生が一輪ずつひまわりを描く。「できた!」。壁一面に咲いたひまわりを前に、学生たちは安堵と充実の表情を浮かべた。

 
(写真上)学生たちがスタンプに色をつけ(下)、児童とともに壁一面にスタンプを押した(上)
(写真下)手作業でスタンプを制作