特集:東海大生200人に聞きました
2010年8月1日号
選挙や政治を身近な問題に
景気や雇用対策に高い関心

昨夏の政権交代から7月の参議院議員選挙まで、選挙をめぐる話題が注目を集めたこの1年。選挙権を得て、初めて投票した学生も多いのでは? 日ごろから選挙についてどう考え、どんな思いを持っているのか─東海大生200人に聞いた。

「選挙に関心がありますか?」と質問したところ、「ある」と答えた学生は56%、「ない」と答えた学生は44%だった。

「関心がある」という学生がかろうじて半数を上回ったが、「最近の若者としては、関心が高いほうでは」と見るのは政治経済学部の山内和夫教授。㈶明るい選挙推進協会の

統計によれば、2007年7月に実施された前回の参議院議員選挙の年齢別投票率は、20歳から24歳が32・82%。最も高い65歳から69歳の投票率77・72%に比べ、半分にも満たないとの結果が出ている。実際の投票行動と一概には比べられないが、東海大生の5割を超える選挙への関心の高さは、まずまずというところだろうか。

続いて、「関心がある」と答えた学生に、「争点の中で関心のある課題は?」と聞いた。最も多かったのは「景気対策」124人、次いで「雇用対策」99人、「年金・医療などの社会保障」93人。厳しい就職戦線に悩み苦しむ学生たちにとって、やはり関心はもっぱら景気や雇用対策にあるようだ。学生からも「就職活動中なので、就職難の現状をどう打開するのか注目している」(情報理工学部4年・男子)など、切実な声が聞こえてくる。

かかわらなければ変わらない

一方で気になるのは、「ニュースを見ると、世の中のあまりのひどさに、選挙に行っても行かなくても生活は変わらないと思う」(情報通信学部3年・男子)、「誰が当選しても政治は良くならないと思うから、選挙に興味はないし期待もしない」(海洋学部3年・女子)といった、あきらめムードの声があることだ。これに対して山内教授は、「選挙や政治の問題を、日ごろから家族や先生など、世代の違う人と話してみることも大切。多様な意見に触れることで、新しい発見があるはず」と話す。

選挙や政治に関する情報源としては、「テレビ」が177人でトップ。次いで「インターネット」80人、「新聞」66人だった。また、「日ごろから政治や選挙について先生や家族、友人と話すことがありますか?」との問いは、「ある」51%、「ない」49%と、半々という結果に。選挙や政治の問題は、スポーツや音楽のように気軽に話せる話題ではないかもしれない。でも、「日々の暮らし」という最も身近なものが良くなるのも悪くなるのも、選挙や政治の結果なのだ。投票は、自分たちの暮らしと未来を創る大切な権利の行使だと再確認し、選挙や政治は大切な問題ととらえてほしい。(構成・編集部)

選挙は自分たちの未来を守る手段
政治経済学部政治学科
山内和夫 教授

日本の若者の投票率が低いのは、幼少期から選挙が身近にない環境が影響しているようです。例えば米国では、親が投票するのを待っている子どもたちに、ボランティアが投票の仕組みや選挙の意味を教えたり、また大統領選挙のときには学校で模擬投票をしたりと、選挙を通して政治参加の重要性を学ぶ機会が頻繁に持たれます。

日本も少子高齢化による人口減少社会に入り、若者が政治に無関心ではすまされない状況になっています。現在、日本の総人口は約1億2700万人。そのうち64%にあたる15歳から64歳の「労働人口」が、23%の65歳以上の高齢者を支えています。それが2055年には人口約9000万人と大幅に減少し、50%の労働人口で41%もの高齢者を支えなければならないとの推計があります(※)。

学生の皆さんは、これから急激な高齢化と人口減少の渦中を生き抜くことになるのですから、財政や社会保障を安定させる政策の実現に、関心を持たざるをえないことが分かるでしょう。政治にきちんと向き合える一定の知識を持ち、判断して行動できないと、自分たちの未来は守れません。意見を政治に反映する早道は、やはり選挙で自ら選んだ候補者に投票すること。候補者を選び、政治を監督する目を養うためにも、社会のさまざまなことに関心を持って下さい。

※国立社会保障・人口問題研究所『日本の将来推計人口』(06年12月推計)より


学生たちの声から

▶ 今の暮らしに満足して無関心ならばいいが、あきらめて無関心は良くない。大いに議論するべき(理学部4年・男子)
▶ 大学内で選挙や政治の話をあまり聞かないし、学生は選挙権をうまく活用できていないと思う(理学部4年・男子)
▶ 政権が交代したことで、今までよりは選挙に関心を持つ人が増えた気がする(教養学部1年・女子)
▶ 選挙前に言っていたことを、当選後にしっかりやってくれる人が少ない(海洋学部3年・女子)
▶ 政党によってマニフェストが違うので、どの党が政権を握るか気になる(体育学部4年・男子)
▶ 政治家に「選挙だけに力を入れるな」と言いたい。問題はその後なのだから(教養学部1年・女子)
▶ 新しい党ができても話題づくりばかり。国民のことを考えているのか不安になる(工学部2年・女子)
▶ 選挙で選んだからには、すべての国民に責任があると思う。「選挙権を持つ」という責任をしっかり背負っていかなければいけないと思う(政治経済学部3年・女子)
▶ 自分たちの代わりに経済や社会保障などの課題を審議してもらうので、責任を持って投票しなければならないと思う。選んだ人が自分たちの意見を反映しているのか、見守っていかなくてはならないのでは(健康科学部4年・女子)
▶ 国民も政治家もメディアに振り回されている。情報をうのみにせず、真実を見極めなくてはならない(国際文化学部4年・男子)
▶ 選挙に行きもしないで、好き勝手なことを言う有権者が多い(生物理工学部1年・女子)
▶ 政治は今後の日本が進む方向を決めるためのもの。選挙には必ず行かなければならないと思う(農学部4年・男子)
▶ 日本の総理大臣は、何か問題が起こるとすぐに「辞任しろ」という雰囲気になり、何も解決せずに辞めていく。国民ももっと温かく見守ることはできないのだろうか
(教養学部4年・女子)