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2015年8月1日号
先端技術大賞特別賞を受賞
大空を飛ぶ日を夢見てトンボ型ロボットを研究

中 尚義さん(大学院総合理工学研究科1年)

空中で自在に止まり、急発進するなど高度な飛行能力を持つことから「空の王者」ともいわれるトンボ。その飛行能力を再現する超小型ロボットの研究に取り組む中尚義さん。「トンボの飛翔を規範とした超小型飛翔体の開発」が、優れた成果を挙げた理工系の若手研究者に贈られる「第29回 独創性を拓く 先端技術大賞」(主催=フジサンケイビジネスアイ)の学生部門特別賞に選ばれた。

「一般の目線で“面白い”と認められたことがなによりうれしい」と語る。この研究は、指導教員で工学部機械工学科の橋本巨教授が20年ほど前から取り組んできた。最近でこそ、昆虫や動物の動きを工学に生かす「バイオミメティクス(生体模倣技術)」として注目を集めているが、当初は「見向きもされなかった」(橋本教授)という。「僕が始めたのは4年時から。その研究で賞をいただけるのは、先輩たちがこつこつと実績を積み重ねてきたからこそ。長年の成果が独創的と評されることにも誇りを感じる」。

研究は、地道な努力の積み重ねだ。トンボを捕まえてきて翅はねの構造や羽ばたき方を観察。風洞実験なども行って、謎を一つひとつ解き明かしていく。

「とてもよくできていて、神のみがなせるものなんじゃないかと感動する一方、これを本当にロボットで再現できるのかと圧倒されることもしょっちゅう。だからこそ、わかったときはうれしいし、やりがいも感じる」と話す。

昨年にはPETフィルムを使って翅を作る方法を考案。羽ばたき方を再現する機構を組み込み、オニヤンマとほぼ同じ長さ6センチの小型飛翔ロボットを飛ばすことにも成功した。「飛んだとはいってもほんの数メートル。トンボにははるかに及びません。でも、いつか本物とロボットが一緒に飛び交う日が来ると期待しています」

 
(写真上)中さんが製作したトンボ型ロボット
(写真下)先端技術大賞の授賞式では高円宮妃久子さま(左)に研究概要を解説した