Column:Interview
2015年9月1日号
博多祇園山笠の“伝統”を世界に
昨年から振興会会長就任
国内最大規模の祭りを総括


豊田侃也さん
(1969年度文学部日本文学科卒)  



締め込みに水法被、足元を脚絆と足袋で固めた大勢の男たちが舁く(担ぐ)「山笠」が駆け抜ける――「山笠は人生そのもの。博多に生まれて70年、ずっと山笠を舁いてきました。大学在学中には代々木や湘南校舎の近くで暮らしましたが、山笠の時期が来ると落ち着かなくて(笑)。夜行列車に飛び乗って駆けつけたものです」

福岡・博多で毎年7月1日から15日まで行われ、774年もの歴史を誇る「博多祇園山笠」。勇壮な武者や、あでやかな天女といった人形を乗せた「舁き山笠」が勢い水をかけられながら「おっしょい」のかけ声で街を巡り、高さ数十メートルの「飾り山笠」も街頭を彩る。

その運営を担う振興会の会長を昨年1月から務める豊田さん。就任2年目を迎えた今年も、期間中延べ300万人にも及ぶ来場者がある国内最大規模の祭りを取り仕切った。「統括する立場になって一番に願っているのは、参加者や観客、運営側も含めてすべての人に感動を持って帰ってもらいたいということ。そのために全力を注いでいます」山笠に夢中になる人を博多では「やまのぼせ」と呼ぶが、豊田さんこそその名にふさわしい。「しきたりを重んじ、何世代にもわたって伝統を伝えていく姿勢こそ山笠の魅力。より多くの人たちに知ってもらいたいと今年4月には静岡遠征も行いました。また、文化庁を通じて全国山・鉾・屋台保存連合会に加盟する全国33団体の祭りと合同で、ユネスコの無形文化遺産登録に申請中です。今後は海外へも積極的に発信していきたい」と意欲的だ。「振り返れば、学生時代は自分の思うことに打ち込める環境があり、そのころから『いつかは会長に』との思がありました。社会に出てからも勤めのかたわらで情熱を傾けてきたと自負しています。若い世代の人たちにも目標を持ち続けることの大切さを伝えていきたいですね」

 
(写真)「山笠」は地区ごとに結成した「流」ごとに製作される。豊田さんはそのうちの一つ「千代流」の代表として、長年振興会の役員を務めてきた。祭りのクライマックスは7つある流が速さを競い合う「追い山」だ