Column:Interview
2015年10月1日号
“社会に通用する人間を育てる”
45年ぶりの日本一に導いた
付属相模高校野球部 門馬敬治監督

全国高校野球選手権大会で45年ぶり2度目の優勝を果たした付属相模高校野球部。新チームで挑んだ秋季神奈川県大会はベスト8で幕を閉じたが、選手たちは再び来夏に向けスタートを切った。門馬敬治監督(相模高教諭)に、選手権を終えての思いや監督論を聞いた。(小野哲史)

1999年に母校・相模高の監督に就任し、翌2000年と11年の2度、チームを春の選抜高校大会優勝に導いた門馬監督だが、夏の全国大会を制するまでには実に16年もの時間を要した。

「春は秋から約半年という長いスパンでチームを成長させ、関東大会で上位に入らなければいけない。一方で夏は1回も負けてはいけないし、3年生にとっては最後の大会。目に見えない重圧があります」。それぞれに勝つ難しさと意味があると言うが、「原の親父さん(恩師で相模高元監督の故・原貢氏)にはずっと“夏に勝つんだ”と言われていました。今回、優勝後に胴上げをしてもらい、春とは違う景色を見られたように思います。選手が力を出しきったというのは間違いないこと。それと同時に、部長やコーチを含めたスタッフが本当に頑張ってくれました」

結果だけを見れば、「100点満点」と言いきる。しかし選手権優勝の喜びに心から浸ったのは、激闘を終えたその日限りだったという。「過去の栄光にいつまでもすがるのはナンセンス。大事なのは、これからの栄光を勝ち取るためにどうしたらいいかを考えていくこと。今大会もゲームの流れや大会期間中の過ごし方など、不十分な部分があったと感じています」

門馬監督は新チームに対し、これまでのやり方を変えていくつもりでいるというのだ。「優勝という結果が出たことを考えれば、同じやり方でチームづくりをしてもいいはずです。でも私は勝ったときこそ変えなくてはいけないと思う。勝って変える怖さを力にできるか。リスクはあるけれど、積極的に新しいことに挑戦し続けていきたい」

飽きさせない授業 社会科教諭の一面も
今後も「日本一」を目指すことに変わりはない。しかし門馬監督は、「勝つことは目標だが、目的は子どもたちを社会に通用する人間に育てること」と話す。日ごろは社会科教諭として政治経済の授業を担当する。雑学的な話を交えたり、最近は偉人伝を授業に取り入れたりと、生徒の興味関心を引き、飽きさせない内容を心がけている。門馬監督自身も常に学ぶ姿勢を持ち、「社会はどんどん変わりますから日々勉強です」と語る。
“門馬先生”と野球部での厳しい“門馬監督”。一見すると両極端にも思えるが、いずれも未来ある高校生をさらに飛躍させたいという願いが出発点であり、それが原貢氏の教えでもある。門馬監督の情熱はこれからも尽きることがない。
 
(写真)就任16年目を迎える門馬監督。毎年プロや社会人、大学で活躍する選手を輩出している