特集:東海大生200人に聞きました
2015年10月1日号
新たな権利をどう使う?
来夏の参院選から18歳以上にも選挙権

選挙権年齢を現在の20歳以上から18歳以上に引き下げる法案が、今年6月に成立した。有権者の拡大は、1945年に20歳以上の男女と決められて以来70年ぶり。これにより来夏の参議院議員選挙からは、18歳になっていれば高校生でも投票できる。新たに得た権利を、若い世代はどのように考えているのか? 東海大生200人に聞いた。(構成・編集部)

「18歳以上に選挙権が与えられることを知っていますか?」と聞いたところ、86%が「はい」と回答。ところが「来夏の参院選で投票する意志はありますか?」に対しては、38%が「ない」と答えている。この結果に憲法学が専門の吉川和宏教授(法学部)は、「戦後3番目の低さだった前回(2013年)の参院選投票率が52.61%だったことを考えれば、それほど驚く結果ではありません」と笑う。

総務省が今年6月にまとめた参院選の年齢別投票率=右グラフ参照=を見ても、60代、70代が65%以上なのに対して20代は40%未満。前回(13年)に至っては、20〜24歳の投票率が31.18%にまで落ち込んでいる。

では、なぜ若者は投票に行かないのか? 「投票する意志はない」と答えた学生の中で最も多かったのが、「よくわからない」37人。次いで、「応援したい候補者・政党がない」24人、「住民票が実家のある市区町村にある」18人。

「政治に対する若者の関心が弱まっている。18歳に年齢を引き下げたところで、投票率が変動するとは思えない」(体育学部2年・男子)と、法改正に疑問を投げかける声もあった。

若者たちの意見が政治に反映される!?

とはいえ選挙権は、私たち国民が政治を変えるための突破口ともなる大切な権利。「選挙権年齢の引き下げによって、政治に興味を持つ学生が出てくると思う」(海洋学部1年・男子)、「将来を担う若者たちの意見を政治に反映させられる」(文学部1年・女子)と、前向きに捉える学生も多い。

低下し続ける投票率を改善するために、「投票を義務化する」(観光学部2年・男子)、「大学に投票所を設ける」(海洋学部3年・男子)、「インターネット投票を導入する」(文学部1年・女子)などのアイデアも出た。

吉川教授は、「たった1票だと思うかもしれませんが、自分の気持ちを託す姿勢が大事。その1票で何かが変わるかもしれないからです。そのためにも、まずは投票所に足を運んでほしい」と話している。





若い世代の1票が
政治を変える原動力になる

法学部法律学科 吉川和宏 教授

若者の投票率は他の世代と比べると低くなっています。「政治に期待しても仕方がない」という空気が、それだけ強くなっているからでしょう。しかし私は、若者自身が自分たちの影響力を過小評価しすぎていると思うのです。

選挙権年齢が18歳以上に引き下げられたことに伴って生まれる新しい有権者は約240万人。これまでの有権者数が約1億396万人ですから、その数は全体の2.2%を占めます。全国47都道府県の有権者数で比較してみると、241万人を有する茨城県に次ぐ12番目。広島県(231万人)や京都府(208万人)をしのぐ人数です。

小選挙区制の特徴の一つでもありますが、激戦区においてはわずか1%か2%の有権者が投票行動を変えるだけで、違う候補者が当選してしまう。だとすれば、この2.2%の若者集団によって政治がひっくり返ることも考えられます。

これまでは年金問題など、高齢者に特化した政策が選挙の争点になりがちでした。ですが今後、大学のキャンパスがある街では、若い世代に向けた政策を打ち出す政党も増えるはずです。自分たちの1票が大きな力となることを、学生の皆さんはぜひ頭に入れておいてほしいですね。

学生たちの声から
▶ 選挙年齢の引き下げは賛成。若者の数が少なくなっていることもあるが、大学生くらいになれば、ある程度は政治に意見を持つ人もいると思う。政治も若者や年配者をないがしろにしないでほしい(生物学部4年・女子)
▶ 自分一人が投票したところで何も変わらないと思う人も多いが、それは違う。積極的に政治に参加しないのに、今の政治に文句を言う人が多いと思う(健康科学部4年・女子)
▶ 政治家も高齢化の影響で平均年齢が高くなっているので、若い世代が政治にかかわることは賛成だ(工学部4年・男子)
▶ 政治や選挙が、自分に身近なものになると思った(政治経済学部1年・男子)
▶ 今の段階で選挙に行っていない若者も多いから、あまり意味がないと思う。適当に投票したら政治はいい方向に進まないのではないか(教養学部2年・女子)
▶ 年齢が引き下げられることによって若い人の意見が反映されればいい(体育学部1年・男子)
▶ どのような成果が出るかはわからないが、今後は若者も政治に多く目を向けるようになると思う(海洋学部3年・男子)
▶ 選挙の投票年齢を下げても投票者の比率としては老人が多いため、若者の意見が反映されることはあまりないのではないか(生物学部3年・男子)
▶ 政党や政治家の特徴がよくわからず、どこに投票していいか悩む(体育学部3年・女子)
▶ 年齢引き下げをしたことで実際に若者たちが投票するか疑問。下げるメリットは何なのかわからない(農学部3年・女子)
▶ これをきっかけに、若い人たちももっと政治に関心を持つことができればいいと思う。そのためには、学校での教育や政治に対する理解が深まらなければいけないのではないか(国際文化学部4年・女子)