Column:知の架け橋
2015年11月1日号
「国際化を考える」(特別編)
学長補佐(グローバル推進担当)・国際部長教養学部国際学科
吉川直人 教授

グローバル人材とは?
世界で生き残る力と異文化を受け入れる寛容性


今年の4月からグローバル推進担当の学長補佐と国際部長を兼務し、大学全体のグローバル化に向けたさまざまな活動に取り組んでいます。近年、大学はもとより社会のあらゆる場面でこの「グローバル化」が叫ばれていますが、まずは「グローバリゼーションとは何か」を理解することが重要です。

「社会的あるいは経済的な関連が、旧来の国家などの境界を越えて地球規模に拡大して様々な変化を引き起こす現象である」と『知恵蔵』『広辞苑第六版』にあります。ここで大切なのは、言葉の意味を知るだけではなく「一言でグローバル化といっても長所と短所がある」ことへの理解ではないでしょうか。

インターネットを中心に情報通信技術が進化し、そこにいながらに経済、食品流通、海外旅行など世界のことがわかるようになりました。これはよい面といえるでしょう。しかし、一方で欠点もたくさんある。海洋汚染などの環境破壊やテロリズムの多発は、いまや国境を越えて問題化しています。これらはグローバル化が進んだゆえに抱えることになった人類の課題です。

その社会状況において、大学はグローバル社会への貢献を推し進める使命を担っています。それは、世界に通用する研究を有し、地域の中心としての役割を果たすこと。さらにグローバル社会に耐え得る「力強い」「寛容性」を持った学生の育成を意味します。

今後社会へと巣立つ学生たちには、その社会の中で活躍できる「グローバル人材」としての力が期待されているのです。グローバル人材とは、“厳しい競争社会を生き延びる、平和に貢献できる人”のこと。異なる文化、環境、生活で育ってきた人々と共存し、助け合える。その中でリーダーシップを発揮できることが理想です。

学生の皆さんの中には、“自分は将来、海外に出て仕事をするわけではない”“英語を話さなくても生きていける”と、いわゆる「内向き」の考え方を持つ人もいるでしょう。しかし、考えてみてください。大学、学校という殻から社会に出たとき、仕事というものはどんなものでも一人でやれるものではありません。ましてや現代社会においては海外諸国との競争も激しく、すぐに大きな波に飲み込まれることになるのです。

言うまでもなく、その中で生き残っていくには、周囲とのコミュニケーションがとれるかが非常に重要であり、異文化を理解し、多様な価値観を容認できなくては物事が円滑に動くことはありません。また、他者との間で自分の実力を見極め、自分の役割をしっかりと果たし、さらに上のレベルへと挑んでいく必要もあるでしょう。そうして「実力」をつけていくのです。

東海大学は国内だけでなく、世界の中にある大学でなくてはなりません。近い将来残っていくのは、グローバル人材を輩出できる大学だけです。その実現に向けて、英語でコミュニケーションする「インターナショナルカフェ」の開設をはじめ、「グローバル推進委員会」の設置、「国際交流プラザ」の建設計画など、教職員が一体となってさまざまな施策を進めているところです。学生の皆さんには、ぜひそのような環境を有効に活用し、楽しみながら実力を磨いてほしいと願っています。

 
(写真)今年9月には湘南校舎内のドトールコーヒーが「インターナショナルカフェ」としてリニューアル。学生や近隣住民らが英語で自由に交流する場所を提供することを目的に、店舗周辺の敷地まで含めて「イングリッシュゾーン」に設定。メニューや掲示物はすべて英語で表記され、注文も英語のみで受け付けられる

よしかわ・なおと 1957年千葉県生まれ。中央大学経済学部卒業。シカゴ大学国際関係研究科修士課程で国際関係修士号(MA)、ハワイ大学政治学研究科博士課程で政治学博士(Ph.D)を取得。国連開発計画財政専門官、同食料農業機関エコノミストなどを経て東海大学に着任し、ハワイ東海インターナショナルカレッジ学長や東海大学パシフィックセンター所長などを歴任。専門は国際開発論、国際関係論など。