News:教育
2016年1月1日号
出版に向け研究者らが成果報告
パピルス文書の解読進む

2013年度に3年計画でスタートした「東海大学所蔵古代エジプト・パピルス文書の修復保存・解読・出版に関わる国際プロジェクト」。最終段階を迎え、出版に向けて準備が進められている。昨年11月28日には同プロジェクトに携わった研究者らが一堂に会してラウンドテーブルを開催。約20人が参加し、修復保存・解読の成果報告や意見交換が行われた。

この取り組みは東海大学総合研究機構のプロジェクト研究の採択を受け、工学部や情報技術センター、第一線で活躍する海外の研究者と連携して進められてきた。400片ほどの紙片から重要度の高い約50片を選択し、解読した内容を出版する計画だ。

文書の解読に従事したアメリカ・イェール大学のジョセフ・マニング教授は、会計や契約文書などの貴重な資料が含まれていることを説明。修復保存に携わったドイツ・ベルリン新博物館のミリアム・クルシュ氏は、夏季は高温多湿で冬季は乾燥する日本の気候に合わせた独自の保存法を東海大の研究者とともに考案したことを報告した。

また、パピルスの修復師を目指している文学部4年の小野智仁さんと藤沼一貴さんが、パピルス紙の製造方法や再利用に関する研究の概要を発表。紙の劣化や顔料について研究している工学部の葛巻徹教授と同研究室の高橋悠さん(大学院工学研究科1年)が、解析の手法や成果を説明した。

後半は同プロジェクトの研究代表者・山花京子准教授(文学部)が司会を務め、研究内容や今後の展開について参加者全員で意見交換。マニング教授は同プロジェクトを、「工学部の研究者らと協力してパピルス文書を多角的視点から研究する世界でも珍しい取り組み」と高く評価した。

山花准教授は、「解読された文書を世界に向けて発信することで、古代史の新たな知見の発見につながる可能性がある」と出版の意義を強調。「今後も研究者らと協力して研究を進めたい」と語っている。

 
(写真)他大学の研究者や学芸員らが参加。研究報告や意見交換はすべて英語で行われた