Column:知の架け橋
2015年12月1日号
「国際化を考える」
観光学部観光学科
岩橋伸行 教授

学生のグローバル化とは?
日本文化を深く学ぶ重要性


観光学部の学生有志が10月25日、丹沢・湘南地区で外国人向けのモニターバスツアーを行い、約40 人が参加した。これまでの取り組みや当日の様子については、本号の3面に掲載されているので、ぜひご一読願いたい。

今回は、学生が考える日本の魅力、学生が選んだ丹沢・湘南地域の観光資源をもとにツアーを企画した。詳しくは記事に譲るが、彼らは日本の伝統や文化を参加者が体験できるコンテンツを集め、「丹沢・湘南における日本文化の体験」というテーマでツアーを提案した。

さて、今回このコラムのテーマは「国際化を考える」ということだが、私は今回のツアーを通して、学生たちがこの丹沢・湘南地域にある“身近な日本”を探し、日本について勉強し、そしてそれを外国人に伝えるということから、「学生のグローバル化」というものが始まるのではないかとあらためて感じた。

言うまでもなく、グローバル化というのは、海外を知るということだけではなく、日本を理解し、それを外国の人たちに発信できるということが必要なわけだが、実はこの日本のことを語るというのが、なかなか難しいのである。

高校の授業では、日本史が選択科目になっており、日本の地理や文化についてもあまり触れられていない。また諸大学の観光関係の学部においては、日本の歴史・地理・文化の基礎はすでに学習されているものとし、やはり時間を割くことはない。

今回参加してくれた学生は、外国人に日本の魅力を紹介するプロジェクトに興味を持ってくれたわけだが、活動をしていく中で自分たちが日本のこと、地域のことをあまり知らないということに気づいたはずである。実際この地域の歴史や文化について、事前にはほとんど知識を持ち合わせていなかった。

また、「神社での参拝作法」「座禅の歴史や効能」「抹茶の歴史や作法」「農村地域に残る雨乞いの太鼓」などについても、やはり正確な作法や歴史について学んだことがなかった。これは参加してくれた学生だけの問題ではなく、現在の多くの学生の実態ではないだろうか。

2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、国はグローバル人材の育成に力を入れているが、真のグローバル化を進めていくためには、語学力の強化だけではなく、併せて日本の文化などについても理解を深めさせていくことが重要ではないだろうか。今回のツアーを通じ、あらためて地域の観光資源を学生とともに考える、その意義を強く感じた。

 
(写真)丹沢・湘南地区を巡るモニターバスツアーのガイド役を務めた学生たち

いわはし・のぶゆき 1954年東京都生まれ。上智大学法学部卒業。近畿日本ツーリスト蠅膿融部長、取締役経営企画部長などを歴任。着地型旅行会社螢謄ーゲート代表取締役社長を経て、2014年から東海大学に着任。専門は「観光による地域振興」など。