News:学生
2016年4月1日号
TSRPがロケット打ち上げ
20年目に40号機が大空へ

発足から20年の節目を迎えたチャレンジセンター「東海大学学生ロケットプロジェクト」(TSRP)が3月2日から6日まで、北海道大樹町でハイブリッドロケット2機の打ち上げ実験を実施した。トラブルを乗り越え、実験を成功させた学生たちを追った。  ※学年は当時



学生独自のロケット開発に取り組むTSRPでは、2004年から北海道大樹町で毎年打ち上げ実験を行っている。8月に秋田県で開かれる「能代宇宙イベント」に向け、機体の仕上がりを調べることが目的だ。TSRPは、1995年度に工学部航空宇宙学科が、アラスカ大学から共同プロジェクトの協力依頼を受けて発足。2006年度からチャレンジセンターにも所属しており、15年度は20周年にあたる。

「私たちは14年の能代宇宙イベントで、高度2403メートルの学生記録を打ち立てました。この節目により高性能なロケットを作り、夢の宇宙に一歩でも近づきたかった」とリーダーの浦橋悠太郎さん(工学部4年)。昨年は恒例の能代での打ち上げを中止し、新技術を盛り込んだ機体開発に注力した。

完成したH-40は将来的な大型エンジン搭載に向け、全長2.13メートル、直径18.3センチと、同時期に下級生への技術継承用に開発したH-41より全長50センチ、直径30センチほど大型化。燃料をより安定的に供給する新型バルブシステムも採用した。

困難を乗り越え高度900メートルに到達

メンバー32人は2月28日から大樹町に入り、3月2日にH-41を発射台へ。マイナス15度の中、「細かな作業に手袋はできません。ネジ1つ落とせば、これまでの苦労が無駄になってしまう」と学生たち。努力が実り、ロケットは大空へ。落下の衝撃を抑えるパラシュートも開き、内蔵カメラの動画や到達高度、速度などのデータの詰まった機体を無事回収した。

一方、H-40の打ち上げは困難を極めた。3日は打ち上げ時間に間に合わず中止。4日には点火装置が故障し、度重なるトラブルで燃料が不足する事態にも見舞われたが、学生はあきらめなかった。現地で燃料を確保し、故障の原因も追究した。

H-40は6日午前9時50分、目標高度900メートルに達し、実験は成功。プロジェクトマネジャーの植松千春さん(同)は、「先生、先輩方のご指導やデータの蓄積が結果につながりました。得た情報をもとに能代で記録を塗り替えてほしい」と後輩に希望を託した。

TSRP初代指導者の遠山文雄名誉教授は、「TSRPでは毎年11月にOBOG会を開いており、退官後も交流しています。時代は変わりましたが学生たちの情熱は当時のまま。その夢を、これからも応援します」と語っている。

 
(写真上)「H-41」を回収し、メンバー全員で喜びを分かち合った
(写真中)2015年度で結成20周年を迎えた学生ロケットプロジェクトが、北海道大樹町で打ち上げ実験を行った
(写真下)大空に飛び立った「H-40」。今回得たデータを解析し、改良を加え8月の能代宇宙イベントで学生記録更新を狙う