News:学園
2016年5月1日号
熊本地震―学園に支援の輪が広がる
湘南・福岡から支援部隊を派遣
付属病院もDMATで現地に出動


熊本県内で最大震度7を記録した「平成28年熊本地震」で、県内にある学校法人東海大学の各教育研究機関でも大きな被害があった。4月16日の本震を受けて東海大では、湘南校舎に災害対策本部を設置。スタッフを現地に派遣するなど、迅速に対応した。また、全国の校舎では学園の仲間を助けようと、学生による募金活動が始まるなど、支援の輪が広がっている。(4月26日記)

16日未明の震度7の地震発生後すぐ、熊本校舎からの連絡を受けた湘南校舎の大学運営本部では災害対策本部を設置。24時間体制で対応にあたった。同日午前には石丸明弘事務部長ら湘南校舎と清水校舎の職員が、情報収集と現場対応のため熊本県へと出発。福岡短期大学に救援隊編成を指示するとともに、チャレンジセンター長の木村英樹教授(工学部)、教学部次長の杉山太宏教授(同)を含む5人の教職員らによる支援物資運搬部隊の派遣も決定した。

福岡短大では、宮川幹平准教授(情報処理学科)や北濱幹士准教授(国際文化学科)ら4人が発電機や毛布、電池、水、食料などを積んで同日午後に出発。阿蘇の道路状況などを考慮し、まず熊本校舎へと向かった。福岡隊は16日午後7時に熊本校舎に到着。現地で岩重將成事務室長と合流し、同校舎と付属熊本星翔高校のグラウンドに避難していた学生や教職員、地域住民らに物資を配布するとともに、悪天候を受けグラウンドに設置されていたテントの回収なども行った。

不足物資などを運搬建物の被災状況も調査
湘南隊は、湘南校舎にある災害用備蓄倉庫の物資をチャレンジセンター「ライトパワープロジェクト」の学生らの手伝いも受けながら、同プロジェクトが使用しているトラックに積み込み、高速道路を西へと向かった。湘南隊は福岡県から大分県の日田市を経由して17日の昼ごろ阿蘇地域に到着。先に阿蘇に入っていた先行部隊や湘南の本部と連絡をとりながら、ひび割れや崩落した崖などを慎重に避けて阿蘇校舎にたどり着いた。

現地では避難中の学生や自衛隊と協力して物資を配布。電気電子工学科の木村教授が発電機や照明器具の設置を学生とともに担い、土木工学科の杉山教授は専門の土砂災害についての調査も行った。19日まで日田市をベースキャンプにして現地にとどまり、不足している物資の補給や校舎建物と周辺地域の情報収集などにあたった。

医師ら5人が熊本へ避難所で医療支援

東海大学医学部付属病院のDMAT(災害派遣医療チーム)も、熊本地震で被災した熊本市内で医療支援活動を行った。DMATは、災害発生直後に被災地で救急治療などを行う、専門の訓練を受けた医療チーム。17日夕方、厚生労働省と神奈川県から要請を受けた同病院では、救命救急科の梅澤和夫医師(医学部講師)を隊長に、看護師2人、臨床工学技士、事務職員の5人からなるチームを編成。18日中に羽田空港から福岡を経由して活動拠点の熊本赤十字病院に到着した。

翌19日から20日まで、同市西区内の小学校や中学校、合同庁舎に設けられた5カ所の避難所を回り、被災者一人ひとりの体調を確認するスクリーニングやアセスメントなどを行った。

熊本・阿蘇の学生に義援金を各校舎からエールを送る
熊本地震を受けて、湘南校舎では、チャレンジセンター「3・11生活復興支援プロジェクト」(3・11LCP)が4月18日にいち早く学生の支援を目的とした義援金を募る活動を開始。発起人の澤田侑大さん(工学部2年)は、「14日の前震から被害は大きいと感じていましたが、16日に本震が起きて、自分たちにできることをしなくてはいけないと思った」と振り返る。チャレンジセンターの各プロジェクトにも声をかけ、有志学生が学内で29日まで募金を呼びかけている。
 
さらに20日からは、ラグビーフットボール部の部員も参加。境啓孝選手(体育学部3年)は、「熊本出身の6人の部員で話し合い、募金活動をしたいと八百則和コーチ(体育学部講師)に相談したところ、“3・11LCPと一緒に活動してみてはどうか”と提案された」という。「夕方は練習があるので昼休みのみですが、全部員が参加しています。少しでも力になりたい」と語った。集まった募金は熊本・阿蘇両校舎の学生の支援に役立てるべく、現地に送る予定だ。

学生会を中心に各地で募金活動
各校舎の学生会で組織される「東海大学学生会全学代表者会議」でも、「同じ大学の学生として、熊本・阿蘇両校舎を支援しよう」との声が上がり、活動を始めている。
 

湘南校舎の学生会では、永井達也会長(工学部4年)を中心にプロジェクトを立ち上げ、3・11LCPらの活動に合流。体育会、文化部連合会、望星会の委員や学生会役員らが募金活動に参加している。永井会長は、「メインキャンパスの湘南校舎全体として活動し、同じ学生の力になりたい。復興にはまだ時間がかかると思いますが、そのときどきで必要とされる支援を続けていければ」と語った。
 
札幌校舎では学生会とチャレンジセンター「札幌ボランティアプロジェクト」が協力し、19日から30日までの予定で活動を始めている。校舎内に募金箱を設置したほか、昼休みには食堂などで学生、教職員に協力を呼びかける。
 
「学生会活動を通じて熊本と阿蘇にも知り合いがいます。状況を見ながら5月以降も何らかの活動を続けられれば」と味村淳平会長(生物学部3年)。ボランティアプロジェクトの佐野加奈子さん(同)は、「活動する中でも、多くの人たちが協力してくれています。遠く北海道からでもできる限り応援していきたい」と被災地にエールを送る。代々木校舎の学生会は教学課と図書館に、高輪校舎の学生会も教学課に募金箱を設置し募金を呼びかけている。清水校舎でも折戸学生会が中心となり準備をスタート。曽山佳史さん(海洋学部3年)は、「今回の震災は、僕たちにとっても他人ごとではないし、負けてほしくないとも思う。全学を挙げてできる限りのサポートをしていきたい」と語った。

九州出身学生も支援活動を展開
そのほかにも、付属熊本星翔高校の卒業生が中心となって小田急線の東海大学前駅で募金活動を実施。実家が被害を受けたという児玉共行さん(政治経済学部4年)は、「最初は4人で始めた活動ですが、SNSで呼びかけ、すでに20人以上が協力してくれています。現地にはまだ負傷者が多くいると聞いているので、その日ごとに日本赤十字社に義援金を送っています。早く、きちんと被災地に届いてほしい」と胸のうちを明かした。

同じ東海大学で学ぶ仲間へ、被災地へ――全国にキャンパスのある強みを生かし、学生たちがさまざまな形で支援する。

熊本・阿蘇の学生も参加、一日も早い復興のために

今回の地震では、住んでいた下宿やアパートが被害を受け、実家や親戚のもとに避難している学生も多い。そんな学生たちが、湘南校舎をはじめ全国で行われている募金や避難所の運営ボランティアに参加するなど支援活動を始めている。
 
湘南校舎の募金活動には、農学部の鈴木雅大さん(1年)と鈴木健太さん(同)、田中瑞希さん(3年)が4月19日から参加。鈴木雅大さんは、「熊本のことを思うといてもたってもいられなかった」と語る。鈴木健太さんは、「南阿蘇村の一日も早い復興のためにできることを続けたい」と話す。
 

一方、東京都内に避難している学生たちも、「お世話になった下宿村を助けたい」と、募金活動を展開すべく準備を開始した。睫邁詑綮劼気(2年)らは、代々木校舎でパソコンを借りて道路使用許可の申請書を作成。19日からJR新宿駅前で協力を呼びかけている。


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(写真上から)
▼阿蘇校舎に到着した湘南隊は学生や自衛隊員とともに荷物を降ろし、被災者へと物資を配布した
▼DMATチームのメンバー
▼札幌校舎の食堂で募金を呼びかける学生たち
▼湘南校舎でも募金活動を実施
▼東京都内に避難した学生たちも協力を呼びかける