特集:キャンパス展望
2011年2月1日号
英語でコミュニケーションしよう
情報通信学部情報メディア学科 濱本和彦 教授

最近の学生さんは、つくづく「大変だなぁ」と思う。学ぶべき専門の内容は、増えることはあっても減ることはなく、さらに英語でのコミュニケーション能力も要求され、そしてこの就職状況である。

私自身を振り返ってみると、学部卒業はバブル真っ最中。英語での研究の口頭発表は、実は学生時代には皆無である。当時の話を学生にすると、怒られてしまうかもしれない。特に私が所属する情報通信学部は、「国際的に活躍できる英語コミュニケーション能力を習得させる教育」を教育目標として掲げ、またキャリア関連の学部共通科目として「企業研究」「インターンシップ」を開講しているからなおさらである。私もいくつかの科目を担当しており、「私で果たして説得力があるのか?」と自問自答しつつ、日々勉強と考えて担当させてもらっている。

こんな私ではあるが、英語教育や国際化に関しては、縁あってJICAのプロジェクトに参画させていただく機会があり、そこで得られた経験を学生さんに還元できるのではないか、と思っている。タイのモンクット王ラカバン工科大学(KМITL)のプロジェクトに初めて参加したのが2000年で、以降、ラオス国立大学のITブリッジプロジェクト、アセアン工学系高等教育ネットワークプロジェクト(AUN/SEED│Net)に参画する機会をいただいている。現地では主に大学院生の教育研究指導を行うことになるのだが、学生の意欲の高さにいつも驚かされる。

コミュニケーションは英語であり、利用するテキストも英語版がほとんどである。彼らはネイティブではないのでその英語は決して流ちょうではないが、とにかく積極的に話しかけてくるし、貪欲に知識を習得するし、海外での就職もいとわない。KМITLでは英語だけで教育する学部の国際コースもスタートしている。これは日本の大学や学生も見習うべきところで、うかうかしていると追い抜かれるのではないかと心配してしまう。事実、日本のいくつかの企業は日本人学生の採用枠を減らし、留学生や海外からの採用枠を増やす傾向にある。幸い、SEED│Netなどを利用して多くの留学生が研究室に在籍する機会があり、またKМITLの国際コースからは、講義科目や卒業プロジェクトについて共同で実施できないかといった打診がきている。

先日はこの国際コースの学生(学部生である)が高輪校舎を訪問する機会があり、何人かの先生に協力していただき特別講義を開催した。このような機会に本学部の学生にも積極的に参加してもらい、さらに卒業プロジェクトも共同で実施できるようになれば、学生への良い刺激、学習機会となるのではないかと考えている。

とにかく、下手な英語でもよいから、まずは直接コミュニケーションをとる、その機会を学生全員に与える、というのが、これまでの経験から得られた確信であり、私がお手伝いできることと思っている。本学部は「研究成果を英語のみで発表すること」を目標としている。1期生が卒業を迎えるのは2011年度である。1年後、彼らがどのような卒業プロジェクト発表を行うか今から楽しみである(もちろん不安も)。

 
はまもと・かずひこ 1966年長崎県生まれ。東京農工大学大学院工学研究科博士後期課程修了。博士(工学)。専門は医用情報処理、ヒューマンインタフェース、バーチャルリアリティ。

(写真)KМITLにて学生たちと(前列左から2人目が筆者)