特集:東海大生200人に聞きました
2016年7月1日号
大学生は投票に行く? 
7月の参院選から18歳以上に選挙権

6月22日に公示された第24回参議院議員通常選挙。7月10日の投開票日に向け、改選定数の121人(選挙区73人、比例48人)に対し約390人が立候補し、選挙戦が繰り広げられている。今回は、昨年の公職選挙法改正によって選挙権年齢が18歳に引き下げられて初の国政選挙。これによって、すべての大学生に選挙権が与えられたことになる。選挙や政治の今を東海大生たちはどう見ているのだろうか。(構成・編集部)

「7月に行われる参議院選挙に行きますか?」と聞いたところ、「はい」と答えた学生は97人。その理由で最も多かったのは「権利があるから」の55人で、「18歳以上に権利が与えられたから」28人、「特に理由はない」17人が続く。

「行かないと日本は変わらないから」(教養学部2年・男子)といった意欲的な意見のほか、「両親が毎回投票していたので当たり前」(工学部4年・女子)などごく自然なことととらえている様子も垣間見えた。

「いいえ」と答えた103人にその理由を聞いたところ、最も多かったのは「関心がない」で36人だったが、わずかの差で「住民票のある投票場所が遠い」35人、「候補者の政策や人柄がよくわからない」34人との回答が多かった。

学生のコメントからも、「学生は住民票のある場所と住んでいる場所が違って投票に行きづらく、社会人は時間がない」(生物学部2年・女子)など制度の改善を求める声が多く寄せられた。

一方で、「選挙のことをよくわかっていない人も多い」(政治経済学部2年・男子)、「政策をもっとわかりやすく説明してほしい」(工学部2年・男子)といった意見も。

選挙戦が本格化する中、新聞や雑誌で特集が組まれるなど多くの情報が発信されている。投票所に行けない場合は、住民票のある自治体の選挙管理委員会に文書郵送で投票用紙を請求し、最寄りの選管に持参して投票できる制度もある。

まずは地元の選挙区で出馬する候補者の政策をチェックするのも、投票への関心を高めるきっかけになるだろう。

先生に聞く
投票に行って語り合おう

政治経済学部政治学科 秋本富雄 准教授 

昨年の公職選挙法改正はなぜ行われたのでしょうか? 実は、世界の92%の国では、18歳以上の若者が選挙権を持っています。ご存じのとおり、日本は急速に少子高齢化が進んでおり、世界のどの国も経験したことのない「実験社会」になっています。そうした中、世界標準の18歳選挙権を導入し、より多くの若者に「実験社会」の一員としての意識を共有してもらうことは、21世紀日本の将来を左右する急務であったといえるでしょう。

ところで、若者に政治参加してもらうためには、私たち大人が意識を変えることが何よりも重要です。学校の授業で、立場の違いを乗り越え、意見を共有して合意を形成するといった民主主義の意思決定過程を学ぶ機会も必要になるでしょう。イギリスの政治学者バーナード・クリックが、「政治参加を促すためには、社会の一員として参画するシチズンシップを養うことが重要になる」と語ったように、教育を変えていく必要もあります。

学生には、まず投票に行って、そのうえで友人たちと語り合ってほしい。たとえ応援した候補者が落選しても、選挙って「それもあり」なんです。その貴重な初体験を、ぜひ次の選挙の一票につなげてください。

学生たちの声から
▶ 国会議員の態度が変わらない限り、選挙に行くのは無駄だと感じる。公約さえ実現できないのだから、選挙に行く意味すらわからない(生物学部1年・男子)
▶ 18歳から投票することが可能になった初めての年であり、私も初めて日本の政治に参加します。1票の重さを感じながら、よりよい日本をつくるためによく考えて投票したいと思う(政治経済学部1年・女子)
▶ 政策ごとにそれぞれの候補者、政党のマニフェストを明確にまとめて、関心がない人の目にも入るように開示してほしい(教養学部1年・女子)
▶ 両親が毎回投票に行く家庭だったので、自分が行くのは当たり前だと考えている。家庭環境も若者の投票率と関係あると思う(文学部1年・女子)
▶ 我々が政治家を育て上げる気持ちがあれば、政治家のレベルが上がり、国民の関心は高まると思う(工学部4年・男子)
▶ これから日本を支えていく世代が政治に無関心で、おとなしくしていてはダメだと感じる(医学部2年・女子)
▶ よい人がいないから選んでも無駄(観光学部3年・女子)
▶ ネット投票を導入する。スマホを駆使する若者も投票への関心が持てるだろうし、足の悪いお年寄りも投票所に行かなくても投票できるから、投票率が上がると思う(文学部3年・女子)
▶ 政治家の不祥事が多すぎて選挙に行きたいと思わない(法学部2年・男子)
▶ 選挙に行かないのなら民主制の意味はない。権利があるなら行くべき(教養学部2年・女子)
▶ 政治に関する授業などを小中学校でしっかりやったほうがいいと思う(情報理工学部3年・男子)
▶ 学内でも選挙についての案内を掲示してほしい(工学部2年・女子)
▶ 世襲制は悪い文化だと思う。日本の代表になる力のない人が知名度だけで当選するのは、国民にも責任がある(工学部4年・男子)
▶ 若者世代が投票に行かないことで、老人世代の意見が尊重されていることが問題だと思う(医学部1年・男子)
▶ 漠然と自分にとって遠い存在であると思ってしまう。自分も含め日ごろからニュースを積極的に見るべきだと思う(健康科学部3年・女子)
▶ 政治家が学校に来て、わかりやすい言葉で今の政治や選挙について話し、理解度を高める機会があるといい(海洋学部4年・女子)▶ 国会中継の惨状を見ていると投票率が上がる気がしない。小学生のほうが静かで、ましな話し合いをします(海洋学部4年・女子)