News:学園
2016年8月1日号
[農学部・大学院農学研究科]熊本校舎で授業再開
「九州キャンパス復興課」を新設

4月に発生した「平成28年熊本地震」の影響で休講が続いていた農学部と大学院農学研究科の授業が、7月1日から熊本校舎で再開された。農学部などが置かれている阿蘇校舎は、今回の地震で1号館をはじめ建物や敷地内のインフラ、近隣の道路や下宿・アパートに甚大な被害があり、当面は2年間の予定で暫定的に熊本に学びの場所を移しての再開となった。

農学部と農学研究科は1日から8月17日までを春学期として、各授業を1コマ135分で実施。原則として4月時点の時間割と同曜日、同時限で開講されるが、実験・実習科目の一部は開講日が変更される場合もある。秋学期は当初の学年暦どおり、9月21日から来年1月27日までで、授業も通常どおり1コマ90分となる予定。

再開前日の6月30日には、1、2年生、3、4年生と大学院生の2回に分けて授業再開ガイダンスを実施。冒頭で今回の地震で尊い命を失った農学部生3人に向けて黙祷をささげ、冥福を祈った。続いて、山田清志学長が登壇し、「授業は通常より密度が濃く、大変なものになるかと思いますが、新しい農学部をつくるという気概を持って学習に向かってください」と語りかけた。

また、農学部の荒木朋洋学部長は阿蘇校舎の現状や講義について説明するとともに、「阿蘇校舎は学生、教職員の団結が強いことが特徴です。阿蘇魂を発揮して頑張りましょう」と激励の言葉を送った。

東海大では、熊本地震の復興活動への迅速な対応を目的に、7月1日付で熊本校舎に「九州キャンパス復興課」を新設。被災した学生や保護者の相談窓口として、組織的にきめ細かい対応にあたっている。

新しい環境で学ぶ学生たち 感謝を胸に再スタート

熊本校舎での授業再開を受けて新しい環境へと学びの場を移した農学部生たちは、ガイダンス会場などで友人や教職員とのおよそ2カ月半ぶりの再会を喜んだ。最初は緊張した表情を見せながらも、互いの無事を笑顔で確認し合う姿や、休講期間中の過ごし方などを語り合う様子が見られた。

2年生の男子学生は、「引っ越しも終えて、ようやく再スタート。避難中も教職員の皆さんが親身になって相談に乗ってくれた。この人たちがいてくれれば、地震も乗り越えられると思った」と振り返る。2年生の女子学生は、「長時間の授業には不安はあるけれど、農業を学びたいという思いは変わらない。大学で学べることに感謝して頑張っていきたい」と引き締まった表情で語る。

中には、「大学生活を通じて、ボランティアなどにも取り組みたい。しっかり学んで将来農業で阿蘇に恩返しができれば」と震災で離れざるを得なかった南阿蘇村への思いも聞かれた。

阿蘇校舎を報道陣に公開 校舎使用の方向性を検討

建物や地盤の調査が続けられている阿蘇校舎が7月20日、報道機関向けに公開された。新聞やテレビなど報道各社から寄せられていた取材の要望に対し、地震発生から3カ月を経て立ち入り可能区域の安全が確保できたことや農学部の授業が熊本校舎で再開されたこと、悪天候が続いていた梅雨が明けたことなどを受けて実施されたもの。

約15社が参加した当日は、中嶋卓雄九州キャンパス長や九州キャンパス復興課などの職員が案内し、校舎内各地を撮影。野球部寮の阿蘇望星学塾、使用不能となった1号館周辺とその1階部分などを回った。また、実習用の施設や、飼育されている羊や乳牛なども公開され、生まれたばかりの子牛も職員が抱きかかえて披露=右写真。各所では教職員が記者からの質問に答え、建物の概要や被災後の復旧状況などについて紹介した。

中嶋九州キャンパス長は記者団の質問に対し、東海大学が設置した学内外の有識者6人で構成された地盤調査委員会の調査結果を踏まえ、学生の安全を最優先して阿蘇校舎使用の方向性を検討していくといった今後の見通しについて説明。「農学部の特徴を失うことのない再建を目指す。農業県である熊本県の指針も鑑みて、県内で唯一農学部を有する大学として、地域貢献につながるよう運営していきたい」と話した。

 
(写真上から)
▼ガイダンスでは山田学長や中嶋卓雄九州キャンパス長らが2カ月半を経て大学に戻った学生たちにエールを送った
▼山田学長は「新しい学部をつくる気概で頑張ろう」とエール
▼ガイダンスに出席した学生たちを教職員が出迎え
▼大きな被害を受けた1号館などを公開した