News:研究
2016年12月1日号
毎日出版文化賞を受賞
現代教養センター所長・佐藤教授
『ヘッケルと進化の夢―一元論、エコロジー、系統樹』


現代教養センター所長の佐藤恵子教授による著作『ヘッケルと進化の夢―一元論、エコロジー、系統樹』(工作舎・2015年9月刊)が、11月3日に受賞作が発表された毎日新聞社の第70回毎日出版文化賞(自然科学部門)に選出された。
 
同賞は優れた出版物の著編者、出版社などを顕彰するもの。今回は計339作品から、文学・芸術、人文・社会、自然科学など各部門で1冊ずつ選出され、贈呈式が11月25日に東京・椿山荘で開かれた。
 

佐藤教授は薬学を専攻した後、科学の背景としてヨーロッパの思想に触れたことから文系に転向。ドイツ地域研究や科学史を研究してきた。多彩な学問経歴を生かせるテーマとして、本書で取り上げたドイツの学者エルンスト・ヘッケルにたどり着いたという。「ヘッケルは日本では動物学者、哲学者、社会改革運動家、人種差別主義者など、さまざまな顔つきで紹介され、また『エコロジー』という言葉と概念をつくった人物として知られています。断片化したヘッケル像を、彼が残した書物をたどり、一つにまとめることがテーマとなりました」と振り返る。
 
執筆に約10年を要し、「学術的な研究に基づくため難しい内容に触れざるを得ませんでしたが、できる限り平易な表現、丁寧な説明を心がけた」(佐藤教授)という本書。選考委員からは、巨大な知性の実像を鮮明に描き出し、国際的な研究成果としても高く評価できると評された。
 
佐藤教授は、「ヘッケルの影響が当時の社会や文化を大きく変えたということも非常に興味深いと、多くの人に知ってもらいたい」と話している。