News:学生
2017年3月1日号
石巻に小指観音堂を建築
【3.11生活復興支援プロジェクト】地区の伝統行事でも活躍

チャレンジセンター―3.11生活復興支援プロジェクト―がこのほど、宮城県石巻市の十三浜小指地区に―小指観音堂―を建設。2月5日に現地で完成式を行った。東日本大震災の被災地で復興支援活動を続ける同プロジェクトが、震災発生直後の2011年6月に同地区の別の場所に建設した応急建築物「どんぐりハウス」を移築した施設だ。持続可能な復興へ、被災地とともに歩んできた学生たちが次への一歩を踏み出した。

どんぐりハウスは、震災を受け、当時のメンバーが工学部建築学科の杉本洋文教授の指導のもとで考案したウッドブロック工法を用いて簡易に建設が可能なログハウス。同地区では、地域集会の会場や隣接する仮設住宅の住民らの倉庫などとして活用されてきた。

しかし、震災から5年を経て老朽化が進んだため、学生たちは解体も検討していたという。そんな中、「ただ解体してしまうのはもったいない、地域でさらに活用したい」と住民らから声が上がる。プロジェクトでは、昨年8月から作業を開始。パーツごとに解体し、震災前に木造十一面観音座像が安置されていた場所に再建を進めてきた。

学生たちを見守った小指地区行政委員の佐藤栄記さんは、「地区の漁港に近く、集会所や漁の際の休息、準備の場として活用したい」と話す。

9月には完成していたが、今回、小指地区と隣の相川地区における伝統行事で、集落を離れた住民らも戻ってくる「春祈祷」に合わせて完成式が企画された。

「春祈祷はこの地で暮らす方たちには欠かせない伝統行事。私たちも毎年参加してきましたが、それに合わせて完成式を開くことで、より多くの方に存在を知ってもらう機会にしたかった」とプロジェクトの相川・小指地区責任者を務める横山美咲さん(法学部2年)は話す。

記憶を風化させない 次のステップに向けて
学生たちは住民や子どもたちとともに、津波の被害を受けて高台に移転した住宅などを訪問。さらに、獅子舞にも挑戦し、無病息災や家内安全を祈願する祭りの盛り上げに一役買った。

完成式には、現地入りした約10人のメンバーや地域住民ら多数が参加。どんぐりハウス建設当時から交流を重ねてきた(有)ササキ設計代表取締役の佐々木文彦さんが、恒久建築物として行政による建築確認の検査を受けた経緯を説明し、プロジェクトアドバイザーの堀本麻由子准教授(現代教養センター)が、「学生たちは地域の皆さまに温かく迎え入れていただき、充実した活動に取り組めています」と述べた。

「私たちの活動も観音堂の完成を機に、震災の記憶の風化防止や地区コミュニティーの活性化など次のステップに進む時がきている。来年度以降の活動について、充実を図るよう考えていきたい」と横山さんたち学生は力強く語っていた。

 
(写真上から)
▼完成式にはメンバー約10人と地域住民らが参加。新しい地域の拠点完成を祝った
▼獅子舞にも挑戦し、無病息災や家内安全を祈願する祭りの盛り上げに一役買った
▼解体=上=と建築=下=の工事は昨年8月5日から9月5日まで実施。破損した部品は修理し、木材にやすりをかけ、移設先では床、壁、ロフト、屋根の順に作業を進めた