News:学生
2011年3月1日号
直径20メートル級のアイスドームを造る
【アイス・パンテオン・プロジェクト】相次ぐトラブルと戦った日々

直径20メートル級のアイスドームでイベントを開く、世界初の挑戦を成功させたい―。旭川校舎で活動するチャレンジセンター・ユニークプロジェクトの「アイス・パンテオン・プロジェクト」が、今年も空気で膨らませたビニール製の膜に氷や雪をかけて作るアイスドーム制作に挑んだ。相次ぐトラブルに見舞われながらも奮闘した日々を追った。

1月7日深夜。旭川校舎の中庭では学生20人が作業をしていた。気温が氷点下10度を下回る中、ブルーシート製の膜に、加圧式ポンプで水をかけていく。時に歌を口ずさみながら交代で作業をしていた矢先、信じられない事態が起きた。

大きな音とともに、ドームの4分の1が崩れ落ちたのだ。折からの降雪で膜が変形してしまったことなどが原因。さらに悪いことに、加圧式ポンプも故障してしまった。リーダーの泉本峻さん(大学院芸術工学研究科1年)は、「失敗するとは思っておらず、ぼう然としてしまった」と語る。指導する芸術工学部の粉川牧(つとむ)教授と渡辺宏二准教授を交えて今後の対策を検討したが、事態は深刻だった。「今年はあきらめよう」。午前2時半、粉川教授が決断した。

同プロジェクトでは、活動を始めた2009年に直径10メートル、昨年は直径15メートルのドームを完成させてきた。今年度は昨年春から準備し、12月には基礎工事を開始。これまでは特殊素材で作られた既存の膜を使っていたが、初めて市販のブルーシートで膜を作製していた。「皆で作業をすることが楽しく、メンバーの意気も高かった。それだけにショックは大きかった」と石田渉さん(芸術工学部3年)は振り返る。

絶対に完成させる強い心で再挑戦

だが、学生らはあきらめなかった。9日には中心メンバー5人が集まり、粉川教授らと再挑戦の可能性や方法について話し合った。土台を固め直し、空気膜の上まで組んだやぐらから水をまく。「この方法なら、授業のない週末の作業で完成させられる」。メンバーは意気込みを新たにした。

21日に再開した作業では、中断期間に積もった雪を取り除いた後、ドーム作りに取りかかった。途中送風機が止まった影響でビニールシートの膜がしぼみ、ドームの天頂部がつぶれるトラブルも起きたが、中止を考える者は誰もいなかった。

「絶対に完成させたい。それだけを考えていた」と石田真也さん(同4年)。その後も作業を続け、翌週末の29日に直径20メートル、高さ6・3メートルのドームが出来上がった。2月5日には一般公開を行い、近隣の市民150人が参加。ドーム内を走る子どもを見ながら、「最後まであきらめなくて本当によかった」と学生たちは語っていた。

失敗も良い経験。次は30メートルに挑戦
泉本峻さん(大学院芸術工学研究科1年)

一人ではできないことでも、皆で力を合わせれば達成できる。そのことを実感した日々でした。何度もトラブルに見舞われましたが、その分、良い経験もできました。

完成したドームの中に入った時、過去2年間で作ったものと比べても圧倒的に広かった。これを皆で作ったのだと思うと、誇らしい気持ちになりました。来年度は直径30メートルに挑みます。今年以上にいろいろな困難があると思いますが、絶対に完成させます。



 
(写真上)古代ローマの丘に築かれていた直径40辰離鼻璽爐鮖つ石造神殿「パンテオン」をモデルに、学生たちは同サイズのアイスドーム作りに挑んでいる
(写真中)1月7日のトラブル発生直後の様子。ブルーシートの膜がむき出しになってしまっている
(写真下)連日氷点下10度を下回る中、作業が続けられた