特集:教育の現場から
2017年6月1日号
語学や文化の魅力に触れる
【フランス語の授業やサークル】
自ら学ぶための環境が充実

東海大学で学べる外国語は英語のほかに、ヨーロッパ言語とアジア言語を細分化した9言語があり、多くの学生が授業や自主的なサークル活動を通じて異文化に触れている。その中でも、フランス語を学ぶ学生が近年、語学力を競う全国大会で成果を挙げている。学生同士が切磋琢磨し、さまざまな形でフランス語に親しむ現場に迫った。

東海大ではフランスの文化や語学を学べる授業が約30科目開講されており、学生は習得レベルに合わせて授業を選択する。語学の大会でタイトルを獲得する学生のほとんどは、国際教育センターが開講する特定プログラムだ(上級)履修者だ。

フランス語を学ぶ学生が目指す2大タイトルが、毎年秋に開かれる、「全日本学生フランス語弁論大会」と、「日仏会館フランス語コンクール」だ。東海大の学生は近年、決勝の常連になっている。昨年度は弁論大会で優勝と準優勝を独占。国内最大規模であるコンクールでは中級の部で最優秀賞、上級の部と中級の部で1人ずつ奨励賞を受賞した。

両大会の出場を目指す学生は、特定プログラム科目の一つ「プレゼンテーション上級」の授業内で原稿作成と発表練習に励む。春学期はフランス語の表現力強化に努め、日本語で原稿のたたき台を作成。夏季休暇中にフランス語に訳し、合宿をして原稿を仕上げ、秋学期は本番に向けてスピーチ練習を行う。

歴代の先輩に続く 努力を重ねて全国へ

昨年度の弁論大会で優勝した山口諄也さん(観光学部4年)は、「朝から晩までみっちり練習する夏合宿はとても大変だった」と苦笑い。しかし、「先輩たちが活躍する姿を見て、次は自分があの舞台に立ちたいと思い努力した。先生方の指導とクラスの仲間のサポートに支えられた」と振り返る。授業を担当する惟村宣明教授(国際教育センター)は、「学生が立てた目標に向けて全力でサポートするのが教員の役目。先輩の背中を見て毎年チャレンジする学生が出てきているのでうれしく思う」と語る。

また、同年のコンクール(上級の部)で奨励賞を受賞した佐々木敦司さん(大学院工学研究所2年)は、在日フランス大使館が募集しているフランス留学のための奨学金制度「フランス政府給費留学制度」の試験に合格。今年9月からフランス・リール第1大学院へ留学する。東海大からは初の快挙だ。

佐々木さんは、「現在研究している航空工学の分野はフランスが本場。いつか現地で働きたいと思い勉強してきたので、第一歩が踏み出せてうれしい」と喜びを語った。

学び方は十人十色 上級生がサポート
輝かしい成果を挙げる学生も多いが、「フランス革命を題材にした漫画が好きだから」「なんとなくかっこいいと思った」など、フランス語を学び始めた理由は人それぞれ。多くは大学から始め、湘南校舎1号館のグローバルAGORAで活動するサークルなどで慣れ親しむ学生も多い。

語学サークル「フランスクラブ」では、自己紹介や日本映画のせりふをフランス語に訳すなど、学生が主体となって週に2回フランス語を学ぶ。

また、“フランス語を話す空間”という意味の「エスパス・フランコフォン」の活動では、週に1回、ネイティブの教員から正しい発音やフランスの文化を、カードゲームなどを通して学んでいる。初心者でも楽しめるよう、上級生は会話を訳したりゲームの進行役を買って出たりと、細かな気配りを忘れない。

リーダーの杉山和輝さん(教養学部3年)は、「フランスの語学や文化があふれる空間にするために、少しでも興味がある人に楽しさを伝えていきたい」と語っている。

【担当教員に聞く】多様な学部生が活躍
国際教育センター 植村宣明教授

弁論大会やコンクールを目指す学生には、自分の考えを相手に伝え、討論できるレベルのフランス語が身につくよう指導しています。

特定プログラムの授業では毎年スローガンを決めていて、昨年度は「自立」でした。自分で目標を定め、そのためにどんな勉強をどのようなスケジュールで進めるかを考えさせています。

東海大学にはフランス語を専門とする学部学科はありません。ですが、こんなに多様な学部学科の学生が授業やサークルで一緒にフランス語を学んでいる大学は多くないでしょう。先輩たちがつくり上げたこの環境を生かして、今後もたくさんの学生が学び成長してくれることを期待しています。

(写真上)「プレゼンテーション上級」の授業では、学生同士で小テストを採点し、読み書きのアドバイスも送る
(写真中)今年4月にオープンしたグローバルAGORAでの活動

 

【もうひとつの話題】
全編フランス語の自主制作映画
『東海ヌーベルバーグ』


フランス語を学ぶ学生が有志で集まり、脚本、出演、撮影、音楽と、すべてが手作りの自主制作映画『東海ヌーベルバーグ』。昨年2月に完成し、現在は第3話まで動画サイトにアップされている。

日本ならではの“特撮ヒーロー”をテーマに、『東海ヌーベルバーグ』のメンバーが悪と戦い成長していく様を描く。3話合計で再生回数は2万回をこえ、6月にはフランスのテレビ局からも取材を受ける予定だ。

撮影は湘南校舎で行い、せりふは全編フランス語。第1話で主役を務めた山口諄也さんは、「動画を見た人に、『東海大でフランス語を履修している学生はこんな面白いことをやっている』と感じてほしい」と語った。

自主制作映画『東海ヌーベルバーグ』はこちら
【Key Word】言語コース特定プログラム
国際教育センターの国際言語教育部門では、6言語(中国語・フランス語・ドイツ語・コリア語・ロシア語・スペイン語)の入門・初級・中級・特定プログラム(上級)などさまざまなレベルの授業を開講。40単位以上修得することでダブルメジャーとして認定される特定プログラムでは、高い言語運用能力を身につけることによって、国際社会で広く活躍できる人材を養成する。