特集:東海大生200人に聞きました
2011年3月1日号
百年後に残したい日本語は?
「百年後に残したい日本語はありますか?」と聞いたところ、81%もの学生が「ある」と回答。「若者言葉」やインターネット上で使われる「スラング(隠語)」など、若者の日本語の乱れが指摘されているが、言葉に対する東海大生の関心は高いようだ。一方、「日ごろ使ったり聞いたりする日本語で嫌いな言葉はありますか?」との質問に「ある」と答えた学生は83%に上った。アンケートで「残したい言葉」や「嫌いな言葉」とその理由も聞いたところ、学生からは実に多種多様な言葉とそこに込める思いが寄せられた。ここでは、そのごく一部を紹介する。日ごろは特に意識せずに使っている日本語について、あらためて考えてみては?

1位 ありがとう(200人中35人)
●言うほうも言われるほうも、いい気持ちになれる(文学部2年・女子)
●言葉が変化しても、常に感謝の気持ちは忘れずにいてほしいから(情報通信学部2年・女子)
●どんな時でもその場を和ませるから(教養学部1年・男子)
●会話の終わりや相手への受け答えなど、いつ使っても皆が幸せになる言葉だと思う(政治経済学部1年・男子)
●生きていく中で、絶対に必要になる言葉だから(文学部3年・女子)
●感謝の気持ちを忘れずに生きていくことはとても大切。百年後にも変わらず言えるのでぜひ残したい(体育学部1年・男子)
●自分の意見を持てない人や、何も考えない人が増えていると思う。気持ちのこもった言葉はぜひ残したい(工学部2年・女子)
●使う機会が少なくなってしまうかもしれないから(文学部1年・女子)

2位 もったいない(200人中6人)
●物があふれていて、次々と新しい物を購入する人が多い。物を大切にする気持ちはいつまでも抱いてほしい(農学部4年・女子)
●世界に誇れる日本語のひとつ。物だけでなく時間やチャンスを無駄にする学生が増えているから、この言葉は大切にしたい(教養学部1年・女子)
●世界中には貧困に苦しむ人々がいる。私たちは日ごろからそれを忘れず、食事やお金などを無駄にするべきではないし、百年後もそれは変わらないと思う(工学部1年・男子)
●無駄のない考え方はすてきだと思う(生物理工学部1年・女子)

3位 いただきます・ごちそうさま(200人中4 人)
●一人で食事をする機会が多いせいか、「いただきます」を言わない人が増えた気がする。料理してくれた人に対して、食材を作ってくれた人に対して、命に対しての感謝の言葉だと思うから、きちんと伝えていきたい(教養学部4年・女子)
●日本の文化や感謝の思いがよく表れていると思う(開発工学部4年・男子)
●何でも食べたい時に食べられる時代だからこそ、食べ物のありがたみをよりいっそう感じなければならないと思う。百年後も残ってほしい言葉(文学部1年・女子)



こんな言葉も・・・
あいさつの言葉
●誰かに会った時、美しく気持ちのいいあいさつで1日を始めたい(芸術工学部4年・女子)
●人と人とがコミュニケーションをとれる言葉だから(法学部2年・男子)
平和
●百年後もずっと平和であればいいと思うので(海洋学部4年・女子)
一期一会
●一つひとつの出会いを大切にしてほしいから(理学部2年・男子)
●この一瞬を大切に思い、今できる最高のおもてなしをするという考えは素晴らしい(健康科学部4年・女子)
●出会いを大切にする思いが表れた大好きな言葉(総合経営学部3年・女子)
思いやり
●人とのかかわりで一番大切だから(情報通信学部2年・女子)
幸せ
●口に出るともっと幸せな気持ちになるのは、この言葉だけだと思う(文学部3年・女子)

●グローバル化が進み、多くの物事に機能面のみを求めていることが多くなっていると感じる。古くからの流れを消さずに残したい(教養学部4年・男子)


「学び」と「体験で」自分の言葉を磨いて
文学部日本文学科 小林千草 教授

「百年後に残したい日本語」として「ありがとう」を挙げた学生が最も多かった結果からは、他者とつながるきっかけになる言葉を求める学生たちの思いが感じられます。私は日本文学科の新入生に対して毎年、同様のテーマで作文を書いてもらっています。そこでも、やはり「ありがとう」が最も多く、あいさつや感謝を表す言葉が全体の3割に上りました。これらの結果は、日常生活から温もりのある言葉が失われていることに対する学生たちの危機感の表れでもあるのでしょう。

一方、「嫌いな言葉」に挙げられた「死ね」「きもい」「うざい」などは、いずれも言われると傷つく言葉ですが、学生は普段から深く考えることなく使っているようです。言葉は使い手が自ら選択していくものですから、日ごろから選びとる感覚を養うことが大切です。そのためには、古典や近現代の名作を多く読み、自分の心に響く言葉を見つけることです。年長者の話の中には素晴らしい言葉があるものですから、よく聞いて真似(まね)てみるのもいいでしょう。

「学び」は「真似る」から始まり、さまざまな体験を重ねるうちに言葉は自分のものになっていきます。そうして得た言葉は、人生をより豊かにしてくれるはずです。気になったのは、命にかかわる言葉があまり挙げられなかったことです。日本語には、命やそれを支える自然にかんする言葉が豊富にあります。ぜひ、それらの言葉にも関心を持ち、大事にする感性を磨いて下さい。

学生たちの声から
▶「 ごめんね」と言える気持ちも言葉も大切(観光学部1年・女子)
▶ 誰もが平等に持つことができる「夢」という言葉が好き(教養学部3年・男子)
▶ いい意味でも悪い意味でも使えるから「ヤバい」は便利(文学部1年・女子)
▶ 別れる時の「またね」が好き(政治経済学部1年・女子)
▶「 失敗は成功のもと」という言葉があってこそ、人は努力できる(理学部4年・男子)
▶ 百年後も「気遣い」のある社会であってほしい(海洋学部4年・男子)
▶「 こらっ」と叱ることができる人や環境は残ってほしい(芸術工学部3年・女子)
▶ 各地方の「方言」は大事にしたい(文学部2年・女子)
▶ 時代が変われば言葉も変わる。よい言葉は残そうと思わなくても残るし、悪い言葉は残そうと思っても消えるものだと思う(文学部2年・女子)
▶「 使える」「使えない」など、人を物のように評価する言葉は嫌い(海洋学部3年・男子)
▶ 略語や「ら抜き言葉」は耳ざわり(工学部1年・男子)
▶「 はぁ?」と言われると、すごく馬鹿にされている気がする(工学部3年・男子)
▶ 普段からあまり気にして言葉を使っていないと気付いた(教養学部4年・女子)
▶ 受け取る人の気持ちを考えない言葉はすべて汚いと思う(文学部4年・女子)
▶ 日本語独特のあいまいな言葉が好き(情報理工学部3年・男子)