News:総合
2018年3月1日号
スタートアップシンポを開催
大学の世界展開力強化事業
ロシア・極東のQOL向上へ


東海大学の総合力を生かし、ロシア・極東地域のQuality Of Life(QOL)向上に貢献する―。東海大が日本の医療関係企業やロシアの大学と協力して展開する「ライフケア分野における日露ブリッジ人材育成:主に極東地域の経済発展を目的として」事業のスタートアップシンポジウムが2月14日に東京・霞が関の東海大学校友会館で開かれた。当日は、パートナー大学の一つであるサハリン国立総合大学との交流協定締結式も行われた。

同事業は、文部科学省の平成29年度「大学の世界展開力強化事業」の採択を受けて今年度から始まった。ロシアで社会問 題となっており、2016年の日露首脳会談で経済協力の重点項目に盛り込まれた「健康寿命の伸長」と「高いQOLを保つ健康長寿社会」創出への貢献を目指す。

東海大の狙いについて山田清志学長は、「本学は、他大学に先駆けて1960年代から50年以上にわたってロシアと交流してきた。その集大成として取り組むべき事業だと考えている。日露のパートナーと協力し、QOL向上に資する大学となることを使命に掲げている本学の全学をあげて展開する」と語る。

同事業では、健康管理の基礎となる健康診断を担う人材や、X線撮影画像などを読み取る読影医、日露の医療関連ビジネスで活躍できる人材を育成。ロシアの大学とのダブルディグリープログラム開設、学生の相互派遣や海洋調査研修船「望星丸」を使った交流を通して、教育連携強化や若者同士の相互理解増進にもつなげる。

極東医療の現状を共有 日露の専門家が議論
14日に行われたシンポジウムには、同事業に参画する企業やロシアの大学のほか、両国の医療関係者、研究者ら約200人が参加した。

衣川靖子氏(元ロシアNIS経済研究所主任)が、健康診断が普及しておらず、男性の健康寿命が短いロシアの現状を、極東連邦大学のキリル・ゴルフヴァスト副総長が同大学が進めているライフケア人材育成の現状を解説。国際教育センターの山本佳男所長とヤロスラヴァ・グラディシェワ助教が事業概要と日露の企業を対象に行った、両国間ビジネスで活躍できる人材像に関するアンケート結果を紹介した。

その後、極東地域で医療ビジネスを展開している企業・団体の関係者らによるパネルディスカッションも実施。15日には東海大と連携大学の担当者による意見交換会も行われた。山本所長は、「今後の連携に向けた具体的な活動を進める第一歩を踏み出せた。日露のビジネスに貢献できる人材をしっかりと育成していく」と話していた。

サハリン総合大と協定 学生の相互派遣へ

シンポジウムに先立って同会場で、サハリン唯一の国立大学であるサハリン国立総合大学と東海大の学術交流計画に関する基本協定締結式も実施。トー・ケン・シック法律・経済・マネジメント学部長と山田学長が協定書を取り交わした。

今後は、学生の相互派遣や学術情報・資料の共有を進め、同事業で協力する。トー学部長は、「極東地域では医療や健康への関心が年々高まっており、本事業への参画を誇りに思う。東海大と密接に連携したい」と話している。

 
(写真上)シンポジウム参加者からは、「ロシアの医療ビジネスや教育の現状を包括的に知る貴重な機会だった」「本事業で育った人材が日露のビジネスで活躍することを期待している」との声が聞かれた
(写真下)トー学部長(左から2人目)と山田学長(同3人目)が協定書にサイン