特集:研究室おじゃまします!
2018年10月1日号
開設3年目を迎え利用活発に
学生の教育にも大きく貢献
特別編「イメージング研究センター」

誰も見たことのない世界の可視化に挑み、若手研究者の育成にも貢献する―。東海大学と螢縫灰鵐ぅ鵐好謄奪の産学連携で、2016年8月に開設された湘南校舎のイメージング研究センターが3年目を迎えた。マイクロ・ナノ研究開発センターのもとで運用され、利用登録者数は年々増加。企業や研究機関など学外からの利用も増えている。その一方で、理工系学部を中心に学部生や大学院生の研究利用も活発だ。センターでの研究の様子を訪ねた。

自ら観察・分析し実践力を養う

イメージング研究センターの特徴は、物体の内部を非破壊で観察できる産業用X線CTや、原子・分子レベルで観察できるバイオ系の光学顕微鏡を、利用者自身が操作できることにある。他の研究機関などでは試料を預けて分析結果を受け取るのみということも多いが、同センターでは機器の原理や使い方の基礎講習を受けたのち、専門スタッフのサポートを受けながら利用者自身が機器を操作し分析する。

センターの運用を担当する槌谷和義教授(工学部、マイクロ・ナノ研究開発センター)は、「学生にとっては座学と実践を組み合わせて、“本当の分析能力”を身につける場所になっている」と語る。

「分析機器の高度化により、ボタン1つで結果が取り出せるものも出てきています。しかし正確な分析には、試料の的確な場所を見極める能力や機器の仕組みや特性に関する知識がなくてはなりません。研究をしながらその重要性を体感し、実践的なスキルを磨ける環境が整っています」

センターの仕組みは学生にも好評だ。森凌太郎さん(大学院工学研究科応用理化学専攻1年)は、「自分なりに試行を繰り返す中で、より正確に分析する技術が身についていると感じています。光学機器で撮影した写真を学会発表で使えば、研究成果を視覚的にもアピールできる」と話す。松崎香奈さん(同)と佐久間一華さん(工学部4年)は、「他の機関だとサンプルを渡してから分析結果が出てくるまで1カ月ほど待つこともある。ここでは予約さえ取れれば一日中分析できるので研究のスピード感も違う。誰も見たことのない新しい発見をする面白さも実感しています」と語った。

光学技術の新たな地平へ新領域への利用も広がる
槌谷教授は、「異分野交流の接点にもなっている」とも語る。センターを利用している工学部機械工学科や土木工学科、理学部物理学科の教員による合同ゼミも開かれ、センター開設当初には想定していなかった分野からの利用も増えている。

盒尭狡纏劼気(大学院工学研究科建築土木工学専攻1年)と坊村侑さん(同)は、コンクリート内部の空気の分布を観察するためにX線CTを利用している。盒兇気鵑蓮◆崟莵垳Φ罎数えるほどしかない未開拓の分野。試行錯誤の繰り返しですが、ここで得たスキルは社会に出てから絶対に役立つと実感しています」とコメント。坊村さんは、「合同ゼミでは、さまざまな機器を使った他学科の研究発表を聞き、交流も刺激になった。センター内ではX線CT以外の機器も使えるので、『こんなこともできるのでは』と考えることも増えてきた」と語った。

槌谷教授は、「今以上に学生たちに利用してもらえる施設にすることが目標。利用者のすそ野を広げる活動を積極的に展開していきたい。見たことのない世界を観察することは、空想から解き放たれて真実を突き詰めることにつながる。その魅力を多くの学生に感じてほしい」と話している。


ともにイノベーションを起こしたい

(株)ニコンインステック東日本営業部
ゼネラルマネジャー
大場敬生さん


これまでさまざまな大学と連携してきましたが、東海大学のイメージング研究センター以上に成功した事例はないと考えています。光学機器の新たな利用の道を探るという面でも新しい可能性が見えてきており、ショールームとしても東海大が連携している多くの企業や研究機関に弊社の機器を知ってもらうことができています。それを実現した東海大の力は、弊社の想像をこえるものでした。
 
こうした好循環が可能になったのは、マイクロ・ナノ研究開発センターに集まっている、情熱のある先生方の力が大きいと思います。本気で夢を語り、今まで誰も実現していない道を楽しみながら切り開いていく。専門領域や先例にとらわれずにクリエイティブに発想できる研究者だからこそ、可能になっているのだと感じています。先生方の求心力は大きく、5年後、10年後にどこまで広がっているのか楽しみですし、私たちもそこに協力できていることをうれしく思っています。
 
そうした先生方の姿が、教育的にも理想的な環境をつくっているとも感じています。学生の学会発表数も多く、発表している姿も楽しそうで、それぞれが自発的・能動的に研究に取り組んでいることがうかがわれます。こうした環境でしっかりとした思考力を培った学生たちは、間違いなく企業に入ってからも力を発揮できるでしょう。
 
マイクロ・ナノ研究開発センターで生み出された生体の長時間観察を可能にするナノシートを商用ベースに乗せる計画も進んでいます。今後も弊社の光学機器と東海大の研究を組み合わせて、新しいイノベーションを起こしていきたいですね。

 
(写真上)X線CTで撮影した3D画像データをチェックする盒兇気鵑繁径爾気鵝
(写真中)松崎さんと佐久間さんは、ゼブラフィッシュの筋肉や神経組織、細胞核などの観察に共焦点レーザー顕微鏡を使っている
(写真下)白色干渉顕微鏡を使って熱電半導体材料の研究に取り組む森さん