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2019年1月1日号
身体・意識・他者の視点から自己を問う
田中教授に湯浅泰雄著作賞

現代教養センターの田中彰吾教授がこのほど、著書『生きられた〈私〉をもとめて︱身体・意識・他者︱』(北大路書房・2017年刊行)で、人体科学会の「第12回湯浅泰雄著作賞」を受賞した。同学会の設立者で哲学者の故・湯浅泰雄氏の名を冠したこの賞は、「学問分野の境界をこえ、学際的・総合的な視点から人間性の本質を科学的に研究する」という学会の理念にふさわしい優れた研究を顕彰するもの。
 
同著は、自己アイデンティティを「私が私であることの根拠」と理解し、「身体」「意識」「他者」の3つの観点からその根源を解き明かそうと試みた学術書。「自己の成立について、身体・意識・他者の3つが根源的に不可欠な条件であることを現象学的視座から示した優れた論考」と評された。
 
田中教授は、「大変光栄です。本書は3、4年生対象の『アイデンティティ論』の講義をベースに、初めて一般向けに書いたものです。予備知識のない学生にも理解してもらえる授業を目指してきましたが、受賞はその成果でもあると思っています」と語り、教職員や学生、人体科学会の関係者への謝辞を述べた。
 
また、湯浅氏に教えを受けた若き日を振り返り、「あらゆる研究領域をこえて、生涯にわたり『人間とは何か』を問い続けた湯浅先生の姿勢を受け継ぎたい。今後は、文系から医療、健康、体育、理工系など多様な研究領域が有機的に結びついた総合的な研究所をつくり、東海大学が全学をあげて取り組む『QOLの向上』はもちろん、人間を中心に据えた、本学の柱となる文理融合型の研究を進めていければ」と抱負を語った。

 
(写真)「自己を問い続ける“青い読者”に著書を届けたい」と田中教授