Column:Point Of View
2019年2月1日号
法医学という人生「法医学を魅力ある選択肢に」
医学部医学科基盤診療学系法医学 垣内康宏 講師

前回(11月1日号)、「法医学を専門とする医師は全国で200人足らずの絶滅危惧種」というお話をしました。でも、現状を嘆いてばかりいても未来は開けません。今回は、今後、少しでも多くの若手医師に法医学を選択してもらえるよう、私なりの提案をしてみたいと思います。
 
まず、「法医学は人手が少なく、拘束時間が長い」という誤解を解きたいと思います。たとえば、私の所属する東海大学の法医学では、教授以下、私を含めて4人の医師教員がいます。4人も医師がいると、解剖当番は交代で回すことができるので、調整して長期の学会出張や休暇を取ることも可能です。また、よほどの重大事件でない限り、深夜の解剖要請はほとんどなく、基本的に通常勤務時間内(午前9時〜午後5時)に解剖を終えることができます。
 
臨床医(特に勤務医)のように主治医制でもなく、夜間当直も基本的にありません。そういう意味では、育児・家事などと十分に両立できる、ワークライフバランスの取れた職場だと思います。現に私の同僚2人(いずれも女性医師)も、育児と仕事を両立させながら、毎日仕事に励んでいます。
 
とはいえ、法医学の世界に飛び込むというのは、最初はやはり勇気のいることだと思います。また、「自分は法医学に本当に適性があるのか」と悩まれる方もいらっしゃると思います。そういう方は、医学生のうちに積極的に教室見学に来てください。疑問点や不明点があれば、何でもお答えします。 

「すでに臨床医としてのスタートを切っているけれども、法医学の世界を少し覗いてみたい」という方も、もちろん歓迎します。特に、放射線科を専攻された皆さんに法医学はおすすめです。死後画像診断は、今、とてもホットな研究分野で、新しい知見が次々と発表されています。大学院博士課程の間だけでもよいので、法医学を経験してみるのはいかがでしょうか。
 
死者のご遺体から得られた知見を、生者の健康寿命延伸にフィードバックする、そのやりがいは十分保証いたします。未来の法医学者の皆さんのお越しを、心よりお待ち申し上げております。

(筆者は毎号交代します)