News:研究
2019年7月1日号
音を科学する演奏実験
古代アンデスの楽器を復元

文化社会学部アジア学科の山花京子准教授を中心とする研究グループが、古代アンデスの楽器を3Dプリンタで復元。5月27日に湘南校舎10号館のスタジオ・ソナーレで演奏実験を行った。
 
同グループでは、文明研究所が所有するアンデス・コレクションの修復保全を目的に、昨年度からイメージング研究センターの蛍光X線CTスキャナで遺物の分析を行っている。内部構造を観察する中で、楽器の役割を果たす土器があることが判明した。
 

これを受け、マイクロ・ナノ研究開発センター(MNTC)の喜多理王所長(理学部教授)の研究室に所属する学生らが、3Dスキャンデータをもとに計算して共振周波数と音階を予測。その理論値と実際の音を比較しようと、工学部の秋山泰伸教授の研究室で4点の3Dレプリカ(樹脂製)が製作された。
 
「多列笛」「ほら貝」「トランペット」は唇の振動によって音が出る形状であることから演奏実験では吹奏楽研究会の3学生が担当。中に入れた水を揺らして奏でる「男性彩画把手付双胴壺」は、山花研究室の小能治子さん(文学部4年)が音を出して録音した。
 

共振周波数と音階の記録・分析は喜多研究室の4年生が担当。「音に関する物理はほぼ解明されているけれど、楽器で奏でる音は公式や理論になっていない場合が多いうえに、普段目にする楽器とは異なる形状なので、3D画像での分析は難しかった」(大内信之介さん)と振り返る一方で、「遥か昔に使われていた楽器だと思うと不思議な気持ち。歴史はあまり詳しくないけれど、日ごろの研究を生かしてこうした形でかかわれるのは面白い」(福岡優斗さん)と充実の表情を見せた。
 
山花准教授は、「3Dプリンタでの古代楽器の復元は全国で2例目ですが、実際に演奏するのは初の試み。総合大学だからこそ実現できた」と語る。
 
今後は事前分析の結果と録音データをMNTCで照合。8月2日には湘南校舎で成果報告会が開催される。

 
(写真上)各楽器の録音後は、小能さん(左から2人目)が作曲した小曲を演奏
(写真中)上から時計回りに「トランペット」「ほら貝」「男性彩画把手付双胴壺」「多列笛」の3Dレプリカ
(写真下)喜多研究室の学生らが録音