News:研究
2019年9月1日号
英国科学誌に「i-GONAD法」の手順掲載
医学部 大塚教授

医学部の大塚正人教授(基礎医学系分子生命科学)らの国際共同研究グループがまとめた「i-GONAD法」(簡便なゲノム編集マウス作製法)の詳細なプロトコル(実験手順)に関する論文が7月24日、イギリスの権威ある科学雑誌『Nature Protocols』オンライン版に掲載された。
 
遺伝子改変マウスは、個体レベルでの遺伝子機能解析実験や疾患モデル動物として使用される重要な研究ツールの一つ。「CRISPRゲノム編集技術」による作製法が主流だが、この方法を用いてもこれまでは多くの複雑な工程を介し、熟練した技術と高価な設備を要するという課題があった。
 

大塚教授らは、受精卵(着床前胚)を有する妊娠メスマウスの卵管内にゲノム編集試薬を注入し、卵管全体に対して電気穿孔を行うという簡便な手法「GONAD 法」を開発し、2015年に発表。その後も改良を重ね、特定の遺伝子を破壊したノックアウトマウスや外来遺伝子を挿入したノックインマウスなどを高効率で作製できる「i-GONAD法」に進化させた。さらに、世界中で最も広く研究に利用されているマウス(C57BL/6系統)を効率よくゲノム編集するための、同手法の最適化にも成功した。
 
「i-GONAD法はすでに国内外の複数の研究者に用いられて再現性が確認されており、今回の論文掲載はその重要性や有用性が認められたことを意味する」と大塚教授。
 
「誰でも簡単に作製できるのが本手法の特徴。手順公開はモデルマウスを用いた研究を加速化させ、胚操作がより困難な他生物種への応用にもつながると期待しています。さまざまな生命現象の個体レベルでの解析をはじめ、ヒトの疾患発症の分子基盤の解明や病態解析、難治性疾患の創薬研究などにも貢献できるよう、さらに研究を進めたい」と意欲を見せている。

 
(写真)医学部の大塚正人教授
(図)i-GONAD法の概略