News:研究
2019年11月1日号
効率的な化合物評価システムを開発
【医学部】がん転移抑制剤の研究を加速

医学部外科学系救命救急医学医学科の猪口貞樹客員教授(前教授)と渡邊伸央助教、先進生命科学研究所を中心とした研究グループが、がんの転移を抑制させる創薬の開発を加速させる画期的な評価システムを開発。論文が9月25日、アメリカの科学雑誌『PLOSONE』に掲載された。
 
猪口教授は、食道がん切除手術を受けた患者の予後とがん組織ポドプラニン(膜タンパク質)の発現レベルに相関関係があることを発見。がんの再発・転移がポドプラニンと血小板膜のタンパク質CLEC-2の結合に起因することに着目し、これらの結合を阻害する化合物の探索を開始した。
 
研究グループは、遺伝子組み換え法により目印となるタンパク質を融合させたCLEC-2とポドプラニンを溶液中で結合反応させた後、この目印を利用してCLEC-2とポドプラニンの複合体を沈殿させる化合物評価システム(プルダウン・アッセイ)を構築。溶液中に共存させた化合物が両物質の結合を阻害すれば、ポドプラニンの沈降が抑制されることになる。
 

「1サンプルずつだった化合物の評価が、同手法なら一度に48サンプルまで可能。迅速、効率的で正確な評価法」と猪口客員教授は語る。渡邊助教は、「先進生命科学研究所の平山令明所長の協力でコンピューターによるドッキングシミュレーションを併用し、すでに効果のある1化合物の取得に成功しています。より効果の高い化合物を選別し、創薬を加速させたい」と話している

 
(写真)猪口客員教授(右)と渡邊助教