News:研究
2020年3月1日号
自己免疫疾患の治療応用に期待
【医学部】膜タンパク質の構造を分析

医学部医学科基礎医学系生体防御学の穂積勝人教授と平野健一研究員らが、自己免疫疾患の治療応用につながる研究に関する論文を発表。1月14日にオープンアクセス科学ジャーナル『eLIFE』に掲載された。

穂積教授らは、細胞間情報の伝達に重要な役割を持つ膜タンパク質「Notch(ノッチ)」と、これに結合してノッチを活性化させる膜タンパク質「NotchL(ノッチ・リガンド)」の役割や、これらの結合によって誘導され、細胞の発生や分化に寄与する「Notchシグナル」の仕組みを研究している。Notch(1から4の4種)とNotchL(Dll1、Dll4、Jag1、Jag2の4種)の異常は多くの細胞の分化や免疫応答の異常などを引き起こすため、これらの分子(Notch系)を標的とする薬剤の開発が進められているが、Notch 系全体が抑制されるため副作用が強いという問題があった。

そこで穂積教授らは特定の分子のみを標的にできる薬剤の開発に向けて、個々のNotchとNotchLの組み合わせにおける結合様式の違いを詳細に分析。Dll1とDll4の機能的な差異がNotch1分子との結合様式の違いにあることを解明し、その一部はDll1とDll4の「MNNL」と呼ばれる領域の構造上の特性にあることを明らかにした。

穂積教授は、免疫機能を司るT細胞が胸腺で分化する際にDll4が必須であることを2008年に初めて解明。以後、免疫機能とNotch系の関係を研究し続けてきた。「この成果をもとにDll4に特異的に結合してその機能を抑制する小分子化合物が発見できれば、リウマチや炎症性腸疾患といった自己免疫疾患などへの治療応用が期待できます。本学の先進生命科学研究所と連携し、創薬につなげていきたい」と話している。

 
(写真)穂積教授(左)と平野研究員