特集:キャンパス展望
2011年7月1日号
お互いに力になれる居場所づくりを
阿蘇教養教育センター 奈良知惠 教授

阿蘇キャンパスにある農学部には、多様な学習履歴をもつ学生が全国から集まってきています。そこで新しい人間関係を早く築いて環境に慣れることが、充実した学生生活を送るためのキーポイントになります。

その支援の一つとして、学習につまずいたり、授業内容が理解できなかったときに一緒に考え、お互いに力になれるような「居場所づくり」に取り組んだものが、学習支援ルーム「あっそ〜!?」です。今年で4年目を迎えました。「あっそ?」という名前は、「阿蘇(あそ)」という大自然の中で「互いに協力(associate)」 しながら、なぜ? どうして?という疑問を「あっそうか!」と解決する場になるようにとの願いを込めて命名したものです。

この活動の発端は、化学関係の授業に困難を感じている学生に対するサポートでした。学生が気軽に質問できるような雰囲気を作り、意欲や関心を喚起するにはどうしたらいいか。授業時間以外にも学習する習慣を身につけるための方策を話し合った結果、阿蘇教養教育センターが主体となって組織的に取り組むことになりました。「学習のための居場所づくり」として学生同士、教員と学生など種々の人間関係を築く場として位置づけました。発足当時、特色ある教育プロジェクトなどへの支援を行う「九州キャンパス副学長推進プロジェクト」が始まり、それに採択されたことで公的なものとして活動ができるようになりました。

この活動は正規のカリキュラムではないので、ボランティアによって成り立っています。時間的な制約がある中、教職員6人以上が一堂に会し、毎週火曜日または水曜日の5時限目に、学生の質問に答えたり、知的な興味づけをしたりすることをずっと続けています。特に定期試験の季節には、多くの学生が化学や生物学関係の教材やレポートを抱えてやってきます。

また、社会人としての人格形成には「コミュニケーション能力」を高めることも重要であることから、今年度は「しゃべり場(日本語および英語)」のプログラムも本格化しました。ネイティヴ・スピーカーの先生を囲んで、映画やスポーツや日常生活などについて、自由に「おしゃべり」を楽しんでいます。数学の部門では、問題を英語で出題して解答しています。ちなみに、5月はアインシュタインが考えた、98%の人には解けないという5つのカテゴリーの組み合わせ問題を、3人の学生が最後までチャレンジして正解に至りました。

「あっそ〜!?」では、学生一人ひとりに何かをつかんで卒業していってほしいと願い、教職員が一体となって取り組んでいます。今後も工夫を重ねていきますので、学生の皆さん、どうぞ気軽に参加して下さい。

 
(写真)学生を指導する奈良教授

なら・ちえ 1949年神奈川県生まれ。お茶の水女子大学理学部数学科卒。同大学大学院理学研究科(修士課程)および同大学人間文化研究科(博士課程)修了。学位(学術博士)。専門は離散幾何学、グラフ理論など。