News:学生
2010年12月1日号
アジアン・ル・マンシリーズ初完走
大クラッシュ乗り越え、大きな成果


中国・珠海国際サーキットで11月4日から7日まで開催された「アジアン・ル・マンシリーズ」で、工学部動力機械工学科のル・マンプロジェクトが初の完走を果たし、23チーム中14位(LMP1クラス6台中5位)となった。東海大学チームはマシンTOP03(登録チーム名「TOKAI UNIV. YGKPOWER」) で出場。大学院工学研究科2年の辻村秀幸さんを学生リーダーに、大学院生、学部生計22人が参加。東海大学総合科学研究所の林義正教授が監督、ドライバーは脇阪薫一選手と文学部卒業生の密山祥吾選手が務めた。今大会から精密機器メーカーの日本電産をメインスポンサーに迎えている。本戦では学生たちがステアリング調整やヘッドライトの交換など、計7回のピット作業を滞りなく行い190周を走り切った。辻村さんは「支援していただいたすべての方々に感謝したい。学生一人ひとりが自分の仕事を責任もって果たすことができた」と話した。大きな成果を挙げた学生たちの挑戦を追った。

08年のル・マン24時間レース出場、09年のアジアン・ル・マン出場に続いて3度目の実戦となった今大会、東海大学チームはレース本番前から大きなトラブルに見舞われた。4日に行われた練習走行で、終了のサインが出た直後に路面の水たまりの影響を受け、第2コーナーでコースアウトし壁に激突してしまった。幸いドライバーにけがはなかったが、マシンのフロント左部分が大破してしまった。「ボディーの破片はまるでジグソーパズルのよう。シャフトもZ字に曲がっており、リタイアも考えた」と林監督は振り返る。しかし、辻村秀幸リーダー(大学院工学研究科2年)をはじめ学生たちは破損部分を丹念に確認し、「走行に必要なパーツは無傷。絶対に直せる」と、ボディ班やメカニック班が中心となって修復作業に取りかかった。

翌日の練習走行はキャンセル。チームに帯同するプロのメカニックの助けもあり、破損したパーツをつなぎ合わせるなど夜を徹して作業を続けた。チーフエンジニアの本橋良一さん(同)は「メカニック班を信用していたので、エンジニア班はレース本番に向けて、ミーティングを重ね準備を進めていました」と言う。他班の学生の期待に応え、メカニックたちは奮闘。45時間をかけて、マシンは元通りに息を吹き返した。

天候・トラブルに対応。初のチェッカー


6日の予選当日、最後の練習走行に間に合ったチームは、慎重に確認を繰り返し、車両に問題がないことを確認する。予選では雨の影響で刻一刻と変化する路面状況に合わせてタイヤを交換。総合6位の好タイムで3列目スタートを決めた。晴天に恵まれた本戦当日は、途中でタイヤカスを巻き込みヘッドライトの部品が破損するなどのトラブルにも見舞われたが、学生たちが冷静に対処していった。1位のプジョーが1000舛鯀行し、東海大は5時間35分49秒計190周でレースを最後まで走りきり、初めてチェッカーフラッグを受けた。「運、不運はレースの常だが、もっと上位を狙うチャンスはあった。完走を果たした成果を今後の挑戦につなげたい」と林監督。辻村リーダーは「さまざまな障害をチームワークよく乗り越えられた。チーム力の向上を実感しました」と話す。

真のものづくり教育、後輩たちに技術伝承
東海大学のル・マン挑戦が始まったのは2001年。林監督の研究室を中心にプロジェクトを進め、その時々の学生、大学院生たちがマシンの開発や改良に取り組み、レース参戦に向けた活動を展開してきた。「耐久レースは人生そのもの。24時間、86400秒の中で、その1秒1秒の大切さを実感してもらいたい」という考えのもと、プロジェクトを通して狄燭里發里鼎り教育〞を実践。社会に出て即戦力となる知的能力と実現能力のバランスが取れた学生、課題突破力のある人間性豊かな学生の育成を目指している。




 
(写真上)レースに向けてマシンの整備に当たる学生たち。東海大のマシン「TOP03」は歴代の学生たちが開発、改良を重ねてきた

(写真下)徹夜の作業でレース出場を目指した

 
KeyWord:アジアン・ル・マンシリーズ
ル・マン24時間レースを運営するフランス西部自動車協会(ACO)が主催。今大会はインターコンチネンタル・ル・マンカップの第3戦として開かれた。中国・広東省の珠海国際サーキットは1周4・3キロ。平坦でコース幅が狭く、コーナーが多い。