share

特集

2010/11/01
教育の現場から
話題の授業や地域・企業と連携した課外活動など、東海大学の特色ある教育現場に迫ります。

熊本校舎のキャリア支援に新展開

低学年から職業観を養い、業界研究で視野を広げる

景気低迷に伴って新卒採用を控える企業も多く、“就活生”には厳しい現状が続いている。各校舎でさまざまな支援活動が行われている中、熊本校舎ではこの秋、3年生向けに業界研究セミナーを、1、2年生向けにキャリア支援講座の開講を始めた。4年間を通じて展開する、キャリア支援の新たな取り組みを紹介する。

熊本校舎では、これまでにも3年生を対象に、各業界を代表する企業を招いての就職講演会や、県から補助金を得ての小規模な業界研究会などを実施してきた。しかし、一企業のことを知る前に業界全体のことを知ってほしい、多くの業界に目を向けてほしいとの狙いから、6業界を招いての業界研究セミナーを初めて開催した。熊本キャリア支援課の三宅隆二郎課長は、「『建築学科で学んできたから建設会社を目指す』と考える学生も多いが、金融業でもコンサルタント業でも、建築にかかわる仕事はいくらでもある。このセミナーでさまざまな業界を知ることで、自分の力をどこでどう生かせるのか、自分に合った道は何かを探すきっかけにしてほしい」と語る。

業界の現状を学び、企業選択の材料に
10月12、13、15日の3日間にわたって開かれたセミナーでは、建築や機械製造、金融、証券、情報処理、通信設備の6業界から1日2社ずつ、3日間で計6社の担当者が来校。12日には、宮原建設㈱代表取締役の宮原正名さん(九州東海大卒業生)が建設業について、㈱ナガラ代表取締役社長の早瀬寛さんが機械製造業について説明した。早瀬さんは「国内の需要は最盛期の半分。世界を相手に仕事ができる企業が生き残っていくと言われています」と業界の現状を説明。続けて、「ネット社会になり、面接でもホームページに書いてあることしか話さない学生が増えている。自分の足で企業に出向いて、将来を過ごす会社をきちんと選択して下さい」とアドバイスを送った。

その後、企業ごとに分かれて実際の業務内容などの説明も行われ、「新人研修はどんなことをしますか?」「1年目から活躍できる場はありますか?」といった質問も上がった。参加した学生からは、「就職活動を始めたばかりで、どんな企業があるかもよく分からない。多くの分野に触れることで視野が広がればと思った」(角田翔さん・産業工学部)、「まだ業界を絞り込めていないので、3日間参加して自分の進路を考えたい」(奥田浩司さん・総合経営学部)などの声が聞かれた。

キャリア支援講座で就活の基礎固めを
「低学年のうちから意欲的に取り組む学生がいる一方で、就職に対して関心を示さない学生がいるのも残念ながら現状です。低学年のうちからなぜ働くのかを考え、将来の進路選択を見据えて大学生活を送る必要がある」と三宅課長。 そこで今秋から始まったのが、1年生対象の「キャリア支援講座Ⅰ」と2年生対象の「同Ⅱ」だ。農学部のある阿蘇校舎の阿蘇キャリア支援課が就職コンサルタント会社と協力して作成・実施したプログラムを、熊本校舎の学生用に再構成したもの。今年度は全3回実施し、来年度以降は春秋各3回の講座を実施する予定。

10月7、8日に「大学生活の歩き方」と題してそれぞれ実施された第1回の講義では、「職業観と進路選択能力の醸成」「充実した学生生活がいい就職につながる」といった座学やグループワークを行った。このほかにも、5月からは採用情報などの印刷物を研究室ごとに配布する「就職情報ボックス」を熊本キャリア支援課に設置。学生が定期的に就職情報に触れる機会を提供するなど、きめ細やかなキャリア支援を展開している。

参加企業担当者の声から
▽宮原建設株式会社代表取締役 宮原正名さん
今の学生は真面目でおとなしい反面、ハングリー精神に欠ける印象を受けます。新卒学生の技術レベルはそう変わらないので、最後はやる気があるかどうか。考え方や価値観、何をしたくて何を学んできたのか、それをどう生かせるのかをPRして下さい。

▽熊本第一信用金庫人事課(兼)研修課課長代理 西本卓矢さん
3年生の今の時期は興味がある程度でも構わないので、多くの職種を自分の目と肌で感じることが大切です。そして何より、充実した学生生活を送ることが一番。前向きに頑張り続けられる学生を待っています。

もう1つの話題 他校舎でも多彩な支援活動

いよいよ本番を迎える3年生の就職活動に合わせ、各校舎でも多彩なキャリア支援活動が行われている。湘南校舎では10月12日から22日にわたって、「業界・有力企業研究会」を実施した。毎年恒例となっているこの催しには、9日間で1千人を超える学生が参加。ユナイテッド航空や㈱資生堂などの採用担当者らが、業界の現状や企業の仕事内容などを説明した。阿蘇校舎でも10月13日に「農学部業界研究セミナー」を開催。熊本県農業協同組合中央会(JA農業団体)など熊本県内の3社の採用担当者が説明を行った。また、11月17日には県外の企業を招いての第2回目のセミナーを予定している。芸術工学部のある旭川校舎では、10月20日に「女子学生対象リクルートメイク講座」を開講。メイクアップアドバイザーの戸田美可子さん(スタジオアットーレ)を講師に招き、学生をモデルにしながら就職活動に適したメイク法をアドバイスした=写真。このほか、3年生以外を対象にした講座やセミナーも数多く開かれている。詳細は各校舎のキャリア支援課などに確認を。

 
(写真上)業界研究セミナーでは、メモをとりながら熱心に話を聞く学生の姿が多く見られた

(写真下)業界の現状などについて学んだ後、企業ごとに分かれて実際の業務について説明を受けた学生たち。「担当者の話を聞いて、やる気が出てきた」といった声が聞かれた

教育の現場から記事一覧

2024/03/01

大船渡での経験をつなげる

2024/02/01

「運動」テーマに多彩な企画

2023/12/01

【ソーラーカーチーム】4年ぶりのBWSCで5位

2023/10/01

【ソーラーカーチーム】4年ぶりのBWSC参戦

2023/09/01

【東海大学DAY】グラウンド内外で多彩な企画

2023/06/01

【多職種連携チーム医療演習】学科や職種の枠を超え

2023/05/01

教育・研究と実習が一体に

2023/04/01

【東海大学 2022年度研修航海】

2023/03/01

【建築都市学部版 ものづくり学生サミット】仲間と協力し企業の課題に挑戦

2022/10/01

猫たちのQOL向上目指す

2022/08/01

国際学部「GLOBAL STUDY TOUR A」

2022/07/01

審査を経てデザイン案が決定

2022/03/01

健康学部1期生が卒業へ

2020/12/01

対面とオンラインの併用で

2020/11/01

【医学部医学科】TBLをオンラインで実施

2020/10/01

学際型融合研究が始動

2020/07/01

全学で遠隔授業始まる⑤

2020/07/01

全学で遠隔授業始まる④

2020/07/01

全学で遠隔授業始まる③

2020/06/01

全学で遠隔授業始まる②

2020/06/01

全学で遠隔授業始まる①

2020/04/01

正しい知識と理解で冷静な行動を

2019/06/01

学生の“市民性”を養う

2019/03/01

東日本大震災から8年

2018/11/01

地域の課題と向き合い健康を多面的に考える

2018/10/01

研究成果を通じて大学の魅力を語る

2018/09/01

両国のQOL向上を議論

2018/03/01

地域と連携した多彩な活動

2018/02/01

企業と連携しPR動画を制作

2017/11/01

世界最高峰の舞台で4位

2017/10/01

【健康科学部社会福祉学科】PA型教育に取り組む

2017/06/01

語学や文化の魅力に触れる

2017/03/01

熊本での実践的な学びを地域社会に生かしたい

2016/08/01

学びの基礎と広い視野を培う

2016/04/01

IoT技術とデザインを融合

2016/02/01

生物学部から1期生が間もなく卒業

2015/12/01

産官学連携の強み生かし社会のニーズに応える

2015/11/01

大学の知を地域へ、世界へ

2015/10/01

政治経済学部の自治体インターンシップ

2015/08/01

たかなわ子どもカレッジが本格始動

2015/05/01

HTICの新キャンパスがオープン

2015/04/01

ものづくり学生サミットin湘南

2015/02/01

農学教育実習場のアグラップ

2014/11/01

別科日本語研修課程50周年座談会

2014/10/01

医療短大のデンマーク看護研修

2014/09/01

15回目の節目を迎えたワークショップ

2014/08/01

学生ならではのアイデアを提案

2014/06/01

アクティブ・ラーニングを実践する

2014/04/01

東海大学の新たな地域連携

2014/02/01

観光学部1期生が間もなく卒業