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2012年3月1日号
監督就任4年目で日本一に導く
自然と応援したくなる魅力 
【インタビュー】女子バレーボール部 藤井壮浩監督

昨年12月の第58回全日本大学選手権大会(全日本インカレ)で、13年ぶり6回目の栄冠に輝いた女子バレーボール部。3年前と前回も決勝戦で敗れており、4年生にとってはまさに“三度目の正直”でつかんだ頂点だ。2008年の監督就任以来、初の日本一に導いた藤井壮浩監督(体育学部講師)に聞いた。(構成・小野哲史)

「技術的には昨年度までも他大学に負けていたとは思いませんが、気持ちなどの面も含めると優勝するチームではなかったのでしょう。それが今年度、ようやく一番と認められるチームになったのかなと思います」

2008年の監督就任に向けた、最初の仕事が新1年生の勧誘だった。自身のキャリアの中で培った幅広い交友関係や人脈から、山口かなめ選手(体育学部4年)や吉村志穂選手(同)といったチームの核となっていく有望選手を次々と獲得。「そろってみたら、よいメンバーになっていた」と笑うが、実際、強豪高校で鍛えられた力のある新入生たちは、すでに技術レベルや意識が高かった。

「私も監督1年目。こういうチームをつくろうというより、まずはみんなでお互いのよいところを認め合い、結集させるやり方でスタートしました。誰もが自分のバレーが正しいと考えがちです。でも、人が提案したことも受け入れて、ミックスさせたものをかたちにしていこうと」

身長170センチ前後の選手が多く、それほど大きくない分、最終的には個々がポジションに固執せず、一人ひとりがオールラウンドな役割を忠実にこなせるチームを目指した。

現役時代の経験と種目間連携がカギ

藤井監督は日ごろ、あれこれと細かい指示はしない。練習メニューの考案など活動の多くは選手の自主性に任せ、心がけていることといえば、他人を認めさせることや、試行錯誤する選手たちを辛抱強く待つことだけ。それも自身の経験によるものだという。

「私が東海大学の男子バレーボール部に所属していた当時、積山和明監督(体育学部教授/現・男子部部長兼監督、女子部部長)からやっていただいたことを、彼女たちにもしてあげたいんです」

若き指揮官の思いに選手は必死に応えた。バレーはもちろん、授業でも一切手を抜かない。レギュラーも控え選手もチームのために全力を尽くす。そんな純粋な一生懸命さが、周囲からの多くのサポートを引き寄せた。周りが自然と応援したくなる魅力―それこそが現チームの何よりの武器といえるかもしれない。

さらに東海大ならではの強みとして、藤井監督は「種目間連携」をキーワードに挙げる。「体育館ではバスケットボール部、グラウンドではラグビーフットボール部、武道館では柔道部……。常に日本一を目指して頑張っている彼らから、本当に大きな刺激を受けています。そして私たち指導者は、競技の枠をこえた『スポーツ戦術プロジェクト』を構成し、週に1回の勉強会で意見交換をしたり、互いの試合結果に一喜一憂しているんです」 

愚直ともいえる部員の取り組みや種目間連携の成果。それらが大学女子バレー界の頂点に立つチームの原動力となったのだ。間もなく迎える新年度、4年生の抜ける穴は小さくないが、新チームのメンバーが藤井監督のもと、偉大な先輩たちの伝統を受け継いでいく。

 
(写真上から)
▽13年ぶりの日本一に輝いた選手たちと藤井監督(写真中央)。山口かなめ主将(監督左隣)は、「大会前も“優勝しろ”とは言わず、“お前たちならできるよ”と声をかけてくれます。私たちのことを信頼して任せてくれる、最高の先生です」と語った
▽大学4年時の1994年に主将として全日本インカレ連覇。東海大史上初の男女アベック優勝を遂げ、最優秀選手賞に選ばれた(写真提供=学園史資料センター) 
▽それから17年、今度は監督として2度目のアベック優勝を達成
ふじい・まさひろ 1973年宮城県生まれ。主にレフトで、東北高校時代に春高バレー準優勝、東海大では3、4年時に全日本インカレ連覇。卒業後はNECブルーロケッツでVリーグ優勝に貢献した。2002年に現役引退後、東海大女子部などのコーチを経て08年から現職。