News:スポーツ
2012年9月1日号
【甲府高野球部】8年ぶりの甲子園で躍動
固いチームワークでベスト4

第94回全国高校野球選手権大会が、8月8日から23日まで兵庫県・阪神甲子園球場で行われた。8年ぶり11回目の出場となった甲府高校は、初戦でエース神原友選手(3年=左写真)がわずか88球、試合時間1時間16分で成立学園高校に3―0と完封勝ちして波に乗った。最後は準決勝で光星学院高校に3―9で敗れたが、チームワークを生かして8年前に並ぶ過去最高タイのベスト4となった。



優勝旗も、トロフィーも、賞状すらも飾らない。「過去は過去」と話す村中秀人監督(甲府高教諭)が唯一、グラウンド横の監督室に飾っているものがある。「祝 甲子園出場 東海大甲府高校」の文字とともに、「夏のドラマが動き出す」という8年前の大会キャッチフレーズが書かれた出場記念の旗だ。「これを見ると、このためにやってやろうという気持ちになるからね」と語っていた。

8年ぶりの聖地・甲子園で、村中采配がズバリ的中した。3回戦の宇部鴻城高校戦ではバットが振れていない選手を外し、左投手対策として右打者を多用。スタメンに起用した田中隆太選手(3年)が逆転劇の口火を切った。続く準々決勝の作新学院高校戦では、1点リードで迎えた2回、1死三塁からヒットエンドランをかける奇策に出たが、村中監督は「オープン戦でも県大会でも成功している。練習どおりです」と、してやったりだ。

今年の強さは、「3年生の団結力、そしてチームワーク」と村中監督は言う。女房役の石井信次郎選手(同)が相手打者を見ながら投手陣のよさを引き出し、新海亮人主将(同=右写真)と渡邉諒選手(2年)の鉄壁の二遊間が好守で盛り立てた。新海主将は、「練習から1球に対する集中力を大切にして、ミスが出たらそのたびに皆で話し合ってきた。多くの人が応援してくれる中でプレーができて本当に幸せだった」と喜びをかみしめた。

アルプスで応援した吹奏楽部部長の榊原美夏さん(3年)は、「同じクラスに野球部員がいますが、休み時間になると他のクラスの部員もやってきて、いつも楽しそうにしている。一人じゃない、皆で戦う。普段の仲のよさがにじみ出た、応援したくなるチームです」。機動力を生かして、全員で駆け上がったベスト4。見事な牴討離疋薀〞を見せてくれた。


幼なじみへ届けた声援
pick up☆ 生徒会長 篠原沙貴さん(3年)

応援の歌詞や、打者の名前を書いたプラカードを掲げる。アルプスのまとめ役を担った生徒会の中でも、会長の篠原沙貴さんは特別な思いでグラウンドを見つめていた。主将の新海選手とは保育園から一緒の幼なじみ。「負けず嫌いで、小さいころから頼りになる存在でした。県大会の決勝や甲子園にも地元の友達が応援に来てくれた。みんなに好かれていますね」

成績優秀で、中学時代は生徒会の副会長も務めていた新海選手。「野球を頑張りたい」と甲府高に進学したが、入部当初は決して飛び抜けた存在ではなかった。「ひたむきな努力が実を結んだ選手」とは村中監督の言葉。「技術や言葉で引っ張るのではなく、行動で示す。主将の後についていこうと、チーム全体に相乗効果が生まれた」

野球部は全寮制ではなく、新海選手も2年生までは電車通学だった。篠原さんは「電車で会うといろいろな話をしました。野球の話より、恋バナが多かったかな」と笑う。「全国制覇を目指していたから悔しいと思うけれど、チーム力は一番だったと思う。ベスト4になれたことはみんなの誇り。今度会ったら、おめでとうと言いたいです」