News:教育
2012年11月1日号
熊本&阿蘇 20回を迎えた白川調査
川がつなぐキャンパスの絆

熊本と阿蘇の両校舎の学生が協力し、本格的な水質調査を行う「白川調査」が10月13日に開催された。阿蘇山中から熊本市内を経て有明海に流れ、両校舎の近くを通る「白川」の水質や水量、底生生物などについて調べるもの。1994年度に2回、以降毎年1回ずつ実施され、今回で20回の節目を迎えた伝統行事だ。

この催しは、全長約74キロの白川に、阿蘇山中の支流・黒川も含め、全31カ所の調査ポイントを設置。地域住民に水道水として利用されている地下水が枯渇した場合を想定し、白川の水がどのように有効利用できるかを考察する。水質汚染や環境問題への関心を高めることが目的だ。また、熊本と阿蘇の2校舎の学生会が唯一合同で実施する行事というのも特徴。調査の実施に携わる九州教学部の小佐井博章部長(産業工学部教授)は、「異分野を学ぶ学生が行事を通じて交流を持つことで、視野を広げるきっかけにしてほしい」と期待を寄せる。

そもそも白川調査は、94年に当時の九州東海大学が開学30周年を迎えたことを記念し、熊本、阿蘇両校舎の学生、教職員が一体となって取り組む催しとして企画された。当時から指導にあたってきた水環境工学が専門の金子好雄准教授(産業工学部)は、「記念行事は教育研究に関すること、地域に貢献できること、熊本と阿蘇の学生が一体となって参加できることが条件でした。阿蘇から熊本へと流れる白川の水質調査は、企画の主旨にぴったり」と当時を振り返る。

現在でも両校舎の学生会内に実行委員会を組織。互いに協力して参加者の募集や調査器具の整備などの準備を進めている。熊本校舎の実行委員長を務めた蓑田翔太さん(産業工学部4年)は、「阿蘇校舎の学生とは調査当日に初対面となるケースがほとんどですが、作業を通じて仲よくなれる。チームで一つのことを達成する醍醐味も味わえます」と話す。「回を重ねるごとに交流が深まっている。20回の節目ということもあり、続けることの大切さを感じます」と阿蘇の実行委員長、鈴木雄斗さん(農学部2年)。川でつながったキャンパスの絆は、調査を通じてさらに強まっているようだ。

力を合わせて調査を実施 建学祭で結果を展示

過去19年にわたって実施されてきた白川調査は、一度も雨に見舞われたことがない。今年も秋晴れの空の下、両校舎から約150人の学生が結集。開会式を終え、学部学科の混在した班に分かれ、阿蘇山中の支流・黒川も含めた30の調査地点へと散開した。例年は31カ所で調査を実施してきたが、今回は今年7月に発生した九州北部豪雨の影響で立ち入りが難しいポイントが1カ所あったため、実行委員会が安全面を考慮、30カ所での実施となった。

「阿蘇で学ぶ私たちにとって、自然災害の大きさを実感する機会になりました」と話すのは、実行委員の一人、西本侑祐さん(農学部3年)。学生たちは各地で土砂崩れの跡などを目の当たりにしながらも、事前に研修した調査の内容や方法を確認しながら協力して作業にあたった。熊本校舎に近い「子飼橋ポイント」の班長を務めた西怜花さん(産業工学部3年)は、「この成果が地域の環境保全につながっていると考えるとうれしい」と話していた。なお、今回の調査結果は、11月1日から両校舎で行われた建学祭「東熊祭」と「数鹿流祭」で紹介された。

 
(写真上)阿蘇校舎に近い「黒川第二発電所付近ポイント」。九州北部豪雨の爪痕が残る中、安全を確保して調査する。「フィールドに出て自分の目で見て、考えることが重要。問題解決能力を身につけてほしい」と金子准教授
(写真下)水質をはじめ流速の測定、底生生物など調査項目は多岐にわたる