特集:東海大生200人に聞きました
2012年11月1日号
気軽に美術館を楽しもう
身近なところでも旅先でも

食欲、スポーツ、読書……いろいろな楽しみ方のある秋は、各地の美術館で活発に展覧会が開かれる芸術の季節でもある。本紙では東海大生200人に美術館の利用状況をアンケート。もっと気軽に美術館を楽しめるヒントが見つかるかも……。



「大学生になってから美術館に行ったことがありますか?」との質問に、「ある」と答えた学生は43%。残念ながら「ない」と答えた学生が半数以上の57%だった。その理由は、「興味がない」や「きっかけがない」「時間がない」がほとんど。
 
一方で、「行ったことがある」と答えた学生の中には、「旅先で」との声が目立つ。「美術館にはその土地によって色があると感じた。私自身、芸術に詳しいわけではないので、クラシックな美術館だと途中で飽きてしまうこともあるが、ニューヨークの近代美術館は立体的な作品や見たことのあるものが展示されていてとても楽しめた。その国の歴史を一緒に学べるのも魅力」(教養学部3年・女子)というように、旅行は美術館に行くきっかけになるし、旅の楽しみの一つにもなりそうだ。また、「三鷹の森ジブリ美術館はテーマパークとしても好き」(文学部4年・女子)というように、まずは身近なところから足を運んでみるのも一つだろう。
 

「誰と行きますか?」と聞いたところ、「友人」が最も多い58人だったが、「美術館はデートにぴったりです」と言うのは、西洋美術史が専門で学生に美術や美術館の楽しみ方を教えている金沢百枝准教授(文学部)。「行き帰りに小旅行気分も味わえるし、常設展示でも十分に楽しめます」。
 
学生証を見せれば学割がきく施設も多い。札幌・旭川両校舎の学生が利用できる「北海道立美術館キャンパス・パートナーシップ制度」では、同館の常設展が無料になるなど、さまざまな措置が受けられる。学生ならではの特典を活用して、気軽に芸術の秋を堪能しては? (構成・編集部)

学生たちの声から
Q. おすすめの美術館とその理由
▽北海道立近代美術館の敷地内には、北海道の彫刻家のオブジェや画家の美術館もあるためいつでも楽しめる(生物学部1年・女子)
▽熊本県立美術館は熊本城の二の丸公園の一角にあり、行きやすく、ついでに観光もできる。たまに散歩ついでに寄るのもいいと思う(農学部4年・男子)
▽箱根の彫刻の森美術館は、散策しながら作品を眺めることができる。美術館の静かな雰囲気が苦手な人でも楽しめるのでは?(文学部3年・女子)

Q. あなたなりの楽しみ方は?
▽著名人の絵に関するエッセイを読んで見に行き、自分の感じ方と比べてみる(工学部3年・男子)
▽友達と一緒に行っても、基本的にその場で解散。お互いに気を使わずに自由に見て回り、後で合流する(医学部5年・女子)
▽帰りに居酒屋でパンフレットを見ながら一杯(文学部4年・男子)
▽上野は多くの美術館があるので、散歩しながら「はしご」する(文学部4年・女子)
▽ヘッドホンガイドで解説を聞きながら見る(工学部4年・男子)



実物に触れることが自分を育てる糧に
文学部ヨーロッパ文明学科 金沢百枝 准教授


絵画や彫刻の実物には、写真や映像ではわからない圧倒的な迫力があります。音楽やスポーツと同じように、実物ならではの感動を味わうことが美術館を訪れる楽しみなのです。しかし映画やテレビと違い、美術作品は見る側が耳をそばだてて想像力を働かせないと語りかけてはくれません。作家はどんなことを表現しようとしているのか、感受性を研ぎ澄ませて向かい合う。それができる体力も必要です。
 
とはいえ、難しく考えることはありません。まずはとにかく見る。理解しようと思わなくてもいい。多くの作品を見ているうちに興味を持ったら、その作品や作家について本を読んだり調べたりする。そのうちに作品と向き合える体力がついてきます。大学生はそうした力を養うのに格好の時期であり、その蓄積は必ず10年後、15年後の自分を大きく育てる糧となるでしょう。
 
現代アートも、ベースには古い美術作品があります。そのような基礎を知ることは大学生にとって必要な教養を身につけることにもつながります。自由な時間がとれる大学生活の中に、ぜひ美術館を訪れる楽しみを取り入れてください。

美術館活用の達人に聞く〜これが私の楽しみ方!
ボーッとしたり喫茶店に寄ったりする楽しみも(情報通信学部4年・男子)
作品や絵の前でイスに座って、見るとはなしにボーッとするのが好き。美術館の喫茶店はおいしいところが多いので、帰りにふらっと寄ります。パリのルーブル美術館に行ったときは作品とツーショットを撮ったことも。興味のない個展でも入ってみると意外と楽しめるし、夏は涼しく、冬は暖かいので長居できて便利だし、心も落ち着きます。

新たな面白さや知識を得ることも(工学部4年・女子)
建築学科なので建物自体を見に行くことが多い。展示内容に興味がわかなくても、せっかくお金を払っているのだからと根気強く見ていくと、新たな面白さや知識を得られて楽しいです。

スマホのアプリで展覧会の情報をチェック(文学部4年・女子)
ネットやスマホのアプリを使って東京や神奈川で行われる展覧会の情報をチェックしています。特に好きな画家や彫刻家がいるわけではないので、気が向いたら行ってみる。ショップで書籍やお土産を見るのも好きです。

「もし、買うならどの絵にしよう」と想像しながら巡る(観光学部3年・女子)
その絵がどういう経緯で描かれたのか、画家の生き方や時代背景などを学んでから行きます。「もしも一つ絵画を買うとしたら」と考えながら美術館を巡ると、つい真剣になってしまうことも。見終わった後にミュージアムショップで気に入った絵のポストカードを買うのも、楽しみの一つです。