特集:キャンパス展望
2012年12月1日号
「PBL」で看護技術を育成
健康科学部看護学科 小島善和 准教授

多くの学生が、就職活動で数十社にエントリーすると聞きますが、私が大学を卒業したころは、一般病棟で看護士を採用する病院は神奈川県下に3病院しかありませんでした。当時は、看護婦(女性)と看護士(男性)で国家試験問題も一部異なり、免許証番号も別々でした。現在は、男性看護師や保健師が増え、医学部付属病院でも全看護師の約13%を占めるまでになりました。

看護学科の教員として、看護学生に何を伝えるかを考えたとき、その根幹は「建学の精神」を具現化することであると考えています。「若き日に汝の思想を培え」は「あなたの看護観を持ちなさい」、「若き日に汝の体躯を養え」は「基本的看護技術をしっかり身につけなさい」、「若き日に汝の智能を磨け」は「根拠(Evidence)に基づいた看護ができるようになりなさい」、「若き日に汝の希望を星につなげ」は「初心を忘れないで、頑張り続けなさい。知的好奇心を持ち続けなさい」です。

看護師は、他の職種と同様にコミュニケーション能力はもちろんのこと、問題発見・解決、目標設定・達成に必要な演繹的推論と帰納的推論を展開できる能力が求められます。それを身につけるため、授業で根拠に基づいた看護を行うことができるように、地域住民の方々にボランティアとして模擬患者役をお願いしています。また、PBL(Proble-Based Learning=問題解決型学習)を取り入れ、基本的看護技術をしっかり身につけてもらうために、看護学科4年生に模擬患者役をしてもらい、客観的臨床能力試験を行っています。

研究では外傷予防学の構築に向けて、主に高校生を対象とした「外傷予防教育」を行い、どのような方法論が外傷予防能力の向上に有効かを検討しています。思春期から青年期前期にある若者の死亡順位は、第1位が不慮の事故で、第2位が自殺です。外傷で病院を受診した初診患者は年間で約700万人(全年齢)と推計され、自損行為(自殺未遂)による救急自動車の出場件数は、年間で7万件以上といわれています。一命を取り留めた若者の中には、蘇生後脳症や頚髄損傷・脊髄損傷、四肢の切断、高次脳機能障害など、受傷後の人生を送るうえでさまざまな困難を感じている人たちがたくさんいます。このような状況を少しでも改善したいと考え、P.A.R.T.Y Iseharaを設立し、「外傷予防教室」を定期的に開催しています。

P.A.R.T.Y(Prevent Alcoholand Risk Related Trauma in Youth=若者のアルコールとさまざまな危険に関する外傷予防)とは、カナダのトロントにある病院の救命救急センター師長が1986年に始めた活動で、カナダを中心に世界中で70以上のサイトが活動しています。P.A.R.T.Y Iseharaは、他のサイトと情報交換を行いながら、独自に、/佑ら傷つけられない力、⊃佑鮟つけない力、自らを傷つけない力、そついた人を助け力、というコンセプトを作成し、活動しています。現在は、交通外傷、スポーツ外傷、災害外傷の予防教育ですが、今後は教育内容を体系化して、わかりやすい内容へカリキュラムの検討を重ねていきたいと考えています。

 
こじま・よしかず 1955年神奈川県生まれ。千葉大学大学院修士課程看護学専攻修了。看護学修士。医学部付属病院に勤務後、東海大学医療技術短期大学講師を経て現職。

(写真)前列の左から3人目が小島准教授