News:学生
2013年1月1日号
復興支援の輪を広げたい
【Takanawa共育プロジェクト】
伝統あるみこしを被災地に高輪から気仙沼へのエール


被災地にみこしを贈り、復興支援につなげたい――。高輪校舎で活動するチャレンジセンター「Takanawa共育プロジェクト」の学生が、「気仙沼に贈る高輪神輿(みこし)募金プロジェクト」を展開している。老朽化したみこしを募金で修復し、東日本大震災の津波によってみこしが流失した宮城県気仙沼市に贈る計画で、昨年11月に同校舎で開催された高輪建学祭で協力を呼びかけるなど積極的な活動に取り組んでいる。また、同プロジェクトの学生3人が、昨年11月25日に宮城県南三陸町や気仙沼市などを訪ねた。「被災地の記録を高輪校舎に持ち帰り、多くの学生に知ってもらいたい」と話す。

高輪校舎周辺の住民らとの交流を図り、地域の多彩な活動に参加している共育プロジェクト。今回の活動を開始したきっかけは、高輪神輿同好会の神輿渡御にともに参加していた高輪警察署の本間均署長から、被災地にみこしを贈る計画を聞いたことだった。本間署長は、山田運送(東京都墨田区)の山田守利社長から「大切に保存していたみこしを被災地で役立てたい」という相談を受けており、学生たちもこの趣旨に賛同。森山雄大さん(情報通信学部4年)をリーダーにプロジェクトを立ち上げた。「震災後、自分たちにもできることはないかと考えてきました。縁があってこの計画を聞き、ぜひ協力したいと思った」とメンバーの一人、池本昌史さん(同1年)は話す。

みこしは1940年代から東京都渋谷区で使われていたが、担ぎ手が減ったことで75年ごろには使われなくなり、老朽化が進んでいた。そこで募金をもとに修復し、埼玉県を拠点に被災地の復興支援活動に取り組む「ひこばえの会」代表の涌井宏一さんの協力を得て、気仙沼に寄贈することになった。

みこしを現地へ運搬 地元住民と交流も
学生たちは、昨年10月22日から高輪校舎内にみこしを展示して募金を呼びかけた。11月1日から3日の高輪建学祭では、みこしの展示ブースを出し、募金活動のほか、復興支援チャリティーTシャツを販売。会場には多くの学生や高輪地区の住民らが訪れた。11月25日には、1年生3人とプロジェクトアドバイザーの福崎稔教授(高輪教養教育センター)、地区の代表として港区議会のうかい雅彦議員らが、みこしとともに気仙沼市へ向かった。計画について地元の方々に知ってもらうと同時に、被災地の現状を把握することが目的だ。

前日の24日に高輪校舎でみこしを車に積み込んで出発。25日に宮城県多賀城市に到着し、同行した涌井さんの案内で石巻市、南三陸町などを視察しながら北上した。気仙沼市では「気仙沼ホテル観洋」にみこしと募金箱を運び入れた。メンバーは来夏の気仙沼みなとまつりまでに、みこしを修復する予定。「地域との連携を強めることで活動の輪を広げ、息の長い取り組みにしたい」と先を見据えている。

被災地を歩き、記録し、伝える 息の長い活動を目指す
「福島県出身で、復興支援に関心があったので活動に参加しました。被災から間もなく2年が経ちます。震災の記憶を風化させないためにも、長期的な支援活動をしていきたい」とメンバーの鈴木琢也さん(情報通信学部1年)は話す。気仙沼市に向かう途中、「ひこばえの会」代表の涌井宏一さんの案内で、大量の瓦礫が残された宮城県南三陸町の役場や、ホーム以外が津波で流されたJR志津川駅などを回った。

学生たちはカメラやビデオを用いて各地の様子を記録。津波が到達する直前まで避難を呼びかけた同町の防災対策庁舎では、祭壇に線香を供え、祈りをささげた。被害を目の当たりにした大前寛尚さん(同)は、「被災地を訪ねるのは初めてで、想像よりも復興が進んでいない現状に言葉を失いました。自分にできることは何かを、あらためて考えるきっかけになりました」と話した。

学内での報告も計画 協力を呼びかける

今回の訪問でみこしを運んだ「気仙沼ホテル観洋」では、女将の田村恭子さんや同市を拠点として祭りに参加する「弁天連」の藤倉清喜会頭らと対面。震災前、ホテル観洋には地元の祭りで使われる大小2基のみこしが展示されていたが、震災当日は、小さいほうのみこしが市内の海岸に近い弁天連の事務所に移動しており、津波によって流失したことを聞いた。藤倉会頭は、「遠く離れた東京の学生が、復興支援に取り組んでくれているのはありがたい。地域を盛り上げるという共通した目標に向かって、よい関係をつくっていきたい」と笑顔で話した。

その後、メンバーは気仙沼商工会議所青年部の上田克郎さんと弁天連の会員とともに市内を巡り、気仙沼漁港から津波で約800メートルもの距離を流された全長60メートルの大型漁船「第18共徳丸」を見学。上田さんから、地盤沈下した土地の修繕など復興の課題を聞いた。池本昌史さん(同)は「今後は記録した写真や動画をまとめ、募金箱とともに学内に展示する計画です。また、インターネットでこれまでの活動を紹介し、できる限り多くの方に協力を呼びかけていきたい」と語る。学生たちの取り組みは始まったばかり。「被災した地域が震災前の活気を取り戻すまで、活動は終わりません」と気持ちを新たにしていた。

 
(写真上から)
▽高輪建学祭でみこしの展示や取り組みを紹介するブースを出展
▽ホテルに運び込む
▽損傷した南三陸町役場
▽気仙沼ホテル観洋で女将の田村さん、弁天連の会員らと大小のみこしを背にするプロジェクトメンバーたち。ホテル観洋は高台にあるため、施設内の被害は少なかった
▽JR志津川駅から南三陸町内の被災状況を見渡した。瓦礫の山を見た学生たちは、大きなショックを受けていた