News:教育
2013年2月1日号
ダイニングに置く家具をテーマに製作
旭川・針葉樹プロジェクト
“素材のよさ”を最大限に生かす


旭川校舎の芸術工学部と大学院芸術工学研究科の学生有志が針葉樹の家具作りに取り組んだ。北海道上川総合振興局から依頼を受け、中尾紀行教授(国際文化学部)の指導のもとプロジェクトを結成。トドマツを使ったテーブルやベンチ、ランプシェードなど7点を完成させた。3月末まで北海道上川合同庁舎で展示されている。

一般的な家具に使われる堅くて傷がつきにくい広葉樹とは違い、針葉樹は軽くて柔らかい半面、強度に乏しい。上川管内では、炭鉱跡地などに植林された針葉樹が10年後に主伐期を迎えることから、その有効活用が課題となっている。同局の地域政策振興事「ご当地木工品魅力発信事業」の一環として家具開発を依頼された学生たちは、昨夏から話し合いを始め、“ダイニングに置く家具”をテーマに設定。8月と9月には同事業に参加している旭川工芸センターなどから、トドマツの性質や強度についても説明を受け、製作をスタートした。

試行錯誤を繰り返す見た目にもこだわり

「針葉樹は試作品などに用いたことはありますが、メーンで使うのは初めて。あまりの軽さに驚いた」と友重圭司さん(大学院芸術工学研究科2年)。加藤友貴さん(同)は、「削るうちに機械の歯に負けて飛んでしまい、落として割ってしまったことも1度や2度ではなかった」と苦笑する。どうしたらうまく削れるか――試行錯誤の末に行きついたのは、木材をぬらすことだった。「薄い木のコップは生木で作ると聞いたことがありました。木材をぬらして柔らかくすれば、同じようにできるのではと思った」と鈴木龍一さん(芸術工学部3年)は語る。

また、「針葉樹の家具は強度を補うために厚ぼったくなりがち。ベンチなどは外から見える断面は薄く、中央にいくにつれて厚くしました。接地面を多くするために組み方を工夫したり、アームチェアでは軽さを生かして支えの本数を増やした」と学生たち。弱点を補い、木目の美しさや節を生かした家具ができあがった。

中尾教授は、「広葉樹の代わりではなく、“針葉樹だからできること”をやる。解釈の仕方が難しかったと思います。要望を聞き、誰かのために何かを作ることはデザインの基本。学生のうちにその対象をリアルに感じられたことは、今後の製作に生きてくる」と語っていた。

3月末まで 上川合同庁舎で展示中

製作した家具は、3月末まで旭川市内の北海道上川合同庁舎正面玄関ホールで展示されている。平日の午前8時45分から午後5時30分まで。学生たちは「持ち上げたり、裏返したりして針葉樹のよさを感じてほしい」と語った。

 
(写真上)中尾教授と学生たちが作ったアームチェアとスツール
(写真下)作業はすべて旭川校舎内の工房で行った