News:ひと
2013年2月1日号
“戦友”と駆けた箱根路
陸上競技部 早川 翼選手(理学部4年)

「レースを楽しみたい」。陸上競技部の早川翼選手は試合前、いつもこう話す。1月2、3日の東京箱根間往復大学駅伝競走でもそれが変わることはなかった。東海大は予選会で敗れ、本戦出場はならなかった。

早川選手は、出場権を逃した大学から予選会の個人記録が上位の選手で構成される関東学連選抜に選ばれた。過去3年間、ともに東海大を支えた村澤明伸選手(体育学部4年)が走った2区を任され、「東海大として出られない悔しさはあったけれど、村澤が走ってきた区間を走れることは素直にうれしい。楽しんで走ろうと思った」。
 
11位でタスキを受けると猛然と前を追った。強い向かい風の中15キロを走り、迎えた権太坂。登りきった先に待っていたのは、給水役を志願した村澤選手だった。早川選手は、「自分が大学でここまで成長できたのは、村澤の存在があったから」と語る。一方の村澤選手も、「早川がいなければ今の自分はない」と話すほど、4年間切磋琢磨し合ってきた。

「ここからだぞ!」。激励を受け、早川選手は水を一口含んだ。しかし、なかなかそのボトルを返そうとしない。「返さなければ、まだ一緒に走れる」。2人はどのチームより長く並走した。ボトルを渡し、「ありがとう」と左手を上げて残り8舛鯀った。各校のエースが集う中で個人10位、チームを9位へ押し上げる力走だった。卒業後は実業団のトヨタ自動車へと進む。「実力のなかった自分が、今もこうやって走れることは幸せですね」。(取材=野瀬直裕・文学部4年)

 
(写真)最後の箱根路で並走する早川選手(左)と村澤選手