share

コラム

2013/03/01
東海大学の先生方が、教育・研究活動などを通して学生と接する中で感じたことをつづったリレーコラム(Back Number掲載中)

勉強が断然楽しくなる秘訣とは

情報教育センター 白澤秀剛 講師


毎年春に、湘南学生支援課CLICが主催するクイック講座「授業が断然面白くなる7つの秘訣」で講師を務めている。評判も上々のようで、3年ほど続いている。以前受講した学生から、「先生に教わったとおりに授業を受けてみたら、本当に楽しくなった」といううれしい声も耳にするようになった。私のアドバイスを生かしてくれていたのかと思うと、こちらが「ありがとう」という気持ちになる。

実は、この講座で話している内容は目新しいことではない。しかし、うれしい報告をくれる学生のせりふは決まって、「授業の受け方なんて初めて習った」である。本当に習っていないのかどうかは別にして、初めて習ったように感じていることは事実のようだ。7つの秘訣の中で最も反響が大きいのが、「ルーズリーフをやめてノートにしよう」というものである。

社会人の間では今、ちょっとしたノートブームが起きている。スマートフォンやタブレットが次々進化していき、LTEなどの超高速無線ネットワークも整備され、クラウドを利用した新たなデータ記録方法は、もはや革新と呼ばないほどに普及してしまった。そんな中でのノートブーム。しかも、スマホを縦横に活用している人たちに愛用されているという。その理由は、記録媒体としてのノートの力は、最新のスマートフォンをもってしてもかなわないからである。文字を記録するだけでなく、絵を描いたり、色を塗ったり、汗が滴って紙がゆがんだり、気分によって文字がきれいだったり汚かったりする。

ノートはルーズリーフと違って切り離したり、ページを入れ替えたりすることができないから緊張感も違う。そして、ここが最も重要な部分だが、記録を一つにまとめて検索できるシステムが自動的に完成する。キーワード検索、連想検索といったテクニックなど一切不要で、ページをめくりさえすればいい。こんな、書いた思い出までをも記録でき、簡単かつ短時間に検索できる最高のメディアが100円以下で買えるのである。これを使わない手はないと思う。

情報教育センターの授業では、「どれだけ大量にデータを持っていても、必要なときに探せなければ無意味です。必要なときに検索できて、意思決定に利用できるデータを情報と呼びます」と講義している。分類し、ファイリングしないルーズリーフは、ただの無意味なデータである。ぜひ、ノートを使ってみてほしい。「先生! 授業内容を全部覚えてなくても、ノートをめくれば問題が解けるんですね。でも、何度も見直しているうちに覚えちゃいましたけど(笑)」と言ってきた学生のような、楽しそうな顔がもっともっとキャンパスのあちこちで見られたらいいなと思う。

 

しらさわ・ひでたか 1971年東京都生まれ。東海大学大学院工学研究科博士課程修了。博士(工学)。工学部航空宇宙学科で非常勤講師を経たのち、2006年より現職。専門は宇宙工学・情報教育学。

キャンパス展望記事一覧

2013/02/01

将来の夢はありますか?

2013/01/01

学ぶべきことは無限にある

2012/12/01

「PBL」で看護技術を育成

2012/11/01

学生が成長できる場をつくる

2012/10/01

商品開発の現場で達成感を得る

2012/09/01

データに基づいて説明できる専門家を育てる

2012/08/01

湘南と代々木で2度卒業する!?

2012/07/01

先輩から学ぶ「一次救命処置(BLS)」

2012/06/01

学生の自主的な情熱を発掘したい

2012/05/01

これまでの10年間・これからの10年間

2012/04/01

学生の“居場所”をつくりたい

2012/03/01

模擬裁判で民法の世界を体験

2012/02/01

環境保全に向けて地域と連携する

2012/01/01

最新鋭の実験施設で充実の学びを

2011/12/01

阿蘇校舎・農学部とのデザインプロジェクト

2011/11/01

フィールドワークとコンパと卒論

2011/10/01

人とのつながりを大切に

2011/09/01

目標を持って日々を過ごす

2011/08/01

自由な時間の過ごし方

2011/07/01

お互いに力になれる居場所づくりを

2011/05/01

問題解決能力を高める学びを実践

2011/04/01

持続可能な社会をつくる「環境人材」とは?

2011/03/01

学生とともに「健康」を考える

2011/02/01

英語でコミュニケーションしよう

2011/01/01

一度、「海洋学部」に行ってみよう!

2010/12/01

覚えるということ、考えるということ

2010/11/01

「実学」としての観光学を

2010/10/01

学びながら作る「東海大学検定」

2010/09/01

実践できる学生を社会は求めている

2010/08/01

「集う」とは何かの再確認を

2010/07/01

今しかできないことに挑戦を

2010/06/01

大学はハードルがあってこそ

2010/05/01

「お疲れさま」に覚えた違和感

2010/04/01

「思わぬこと」に飛び込もう!