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2013年3月1日号
年輪のように刻みインカレ3位
全日本女子監督に就任した
女子ハンドボール部 栗山 雅倫 監督

昨年11月の全日本学生選手権大会(インカレ)で初の3位入賞を果たした女子ハンドボール部。チームの指揮をとる栗山雅倫監督(体育学部講師)は同年10月、2016年リオデジャネイロ五輪出場を目指すハンドボール女子日本代表の監督にも就任した。2つのチームを指導する栗山監督に、指導理念や抱負を聞いた。

日本代表監督の就任要請を受けた当初、栗山監督はそれを断るつもりだった。「8年前に着任して以来、私のオリジンは東海大にある。ハンドボールで頑張りたいと来てくれる学生をきちんと育てたい思いが強かった」。そんな栗山監督に対し、日本協会は最大限の支援を約束。山下泰裕体育学部長の「代表監督は誰もができることではない。学生を育てることも大切だが、世の中に貢献することも大事」という後押しも大きかった。「学生を指導する情熱を削ることなく、同じような情熱を代表にも注げるのなら、これ以上のオファーはない」。素直にそう思えた栗山監督は、困難を覚悟のうえで受諾した。

翌月に控えたインカレを前に、学生たちが「監督が日本代表監督になるのは、私たちにとってもうれしいこと。私たちがこれから自立できるか試されている」と言っていたのを後になって知る。「頼もしい言葉に感激しました。女性スポーツはとかく指導者に依存しがちですが、女性でも自立はできる。それは私がずっとやりたいと考えていたことでした」

栗山監督は、チームを「年輪のように刻んでいくもの」と例える。「今までできていたことが、人が代わったからといってゼロになることはない。技術も戦術も、一生懸命ひたむきにやるという姿勢も、チームに根づくんです。だから東海大女子ハンド部の監督に就任して以来、練習内容は大きく変えていません」。チーム史上初のインカレ3位入賞は、学生の自立と成長の証しだった。

異なるゴールにも変わらぬ指導理念
「一隅を照らす」という禅の言葉を栗山監督は大切にしている。「一人ひとりが自分の足元を照らすことができれば、世の中全体が明るくなる」という考え方だが、それは「ハンドボールを通して自分を磨き、少しでも人の役に立つ。そんな人を育てたい」という指導理念にもつながっている。一昨年、東日本大震災から3カ月後にチームで被災地に赴き、地元の高校生に講習会を行ったのも、「一隅を照らす」取り組みの一つだった。

来年度、東海大はインカレでの飛躍を誓い、日本代表は非願の五輪出場を目標に掲げる。目指すゴールは異なるが、根本にある指導理念は変わらない。「だからこそ、それぞれのチームにスタンスを変えずに臨める」。どちらか一方ではない。栗山監督は2つのチームに全身全霊をかける決意を固めた。 (小野哲史)

 
(写真)4月には湘南校舎総合体育館で、女子ハンドボールの春季リーグ戦が開催される予定。栗山監督(中央)と選手たちを応援に行こう!

くりやま・まさみち 筑波大大学院時代にオーストラリアで選手兼コーチに。実業団や日本女子代表のコーチを経て、2005年に東海大女子ハンド部の監督に就任。そのかたわら、2010年にU-20女子日本代表監督、昨年10月から日本女子代表監督を務める