Column:知の架け橋
2013年5月1日号
「健康・スポーツを語る」
体育学部生涯スポーツ学科 川向妙子 教授

“笑顔は健康のバロメーター”
楽しさのある指導法を構築する


「健康でありたい」との願いは、万人の思いであると思います。健康であるために「スポーツ」をどのように捉え向かい合っていけばよいか、についての考えを示したいと思います。

まず、キーワードである、「健康」と「スポーツ」について少し触れておくことにします。「健康」についての捉え方ですが、いまだに明確な概念規定がなされていないのが現実です。一般的に知られているのはWHO(世界保健機関)の健康の定義だと思います。健康を身体的、精神的、社会的に良好な状態と捉え、「疾病あるいは病弱でない」ということではない、とした、疾病中心の「健康観」と言われています。また、WHOの定義の発展型として、医療社会学者のアーロン・アントノフスキーが「健康生成論」の中で“健康の回復、保持、増進”の視点からのアプローチで「健康観」を示しています。病気になる前にファクターを活性化させ、健康の保持・増進を図るという予防の視点に立ったもので、スポーツとのかかわりを見いだすことができます。

ところで、皆さんは「スポーツ」という言葉を、どのようなイメージで捉えていますか?かつては、「スポーツ=競技スポーツ」とイメージする人も多かったように思います。しかし、そのイメージは少しずつ変わってきています。人々のスポーツに対するニーズは多様化し、健康志向や、レジャー・レクリエーション志向など、さまざまな思いでスポーツをエンジョイしています。

「健康」を、保持・増進するための有効的なスポーツの取り組みが期待されています。私の研究課題は、「楽しさのある指導法の構築」です。一人でも多くの人が運動やスポーツを“楽しい”と感じてもらえるプログラムの開発に取り組んでいます。“楽しい”という感情は、スポーツの継続につながります。また、笑顔にさせ、笑顔は仲間を募ります。

秦野市民体操の作成にかかわり、普及のための指導者養成講座の講師も引き受けています。その講習会に参加した方々が、「楽しかったので自分たちでも続けていきたい」と言って、10人でスタートした「はだの市民体操の会」が、今年で10周年を迎え仲間が60人になりました。10周年の記念イベントで、私は講師に招かれました。うれしいですね。

2011年8月24日に施行された「スポーツ基本法」の前文に“スポーツを通して幸福で豊かな生活を営むことは、すべての人々の権利である”とあります。健やかで幸福に満ちた日常を過ごすために、スポーツライフをエンジョイしてみてください。人に「私、幸せです」と言え、心の中で笑顔の自分が想像でき、また、笑顔になれる人は、心も体も「健康」な状態にあると確信しています。笑顔は健康のバロメーターです。

 

かわむかい・たえこ 1948年東京都生まれ。東京女子体育大学卒業。専門は生涯スポーツ指導法。日本体育学会、日本レジャー・レクリエーション学会、日本産業衛生学会に所属。著書に『図解・ゲームの指導事典』などがある。