Column:Point Of View
2013年5月1日号
教員にも話しかけてみよう
尾関智子 情報理工学部情報科学科教授

迫りくる爆弾低気圧の中、富士急ハイランドへ新入生研修会に行ってきた。予定を大幅に繰り上げ大学に帰着したが、新入生12人と大学院生・教職員のグループで、ともに行動し親睦を深めた。絶叫系アトラクションを楽しむ学生を横目に、乗り物の苦手な学生たちと観覧車やメリーゴーラウンドに乗った。

私も大学生のころ、新入生研修会で富士急ハイランドに行った。日本最大級のジェットコースターを前に、友達になったばかりの女子学生と「怖いね」と話したときの情景が鮮明によみがえる。あか抜けない私は、東京の私立女子高出身の彼女がとてもまぶしかった。
 
親元を離れ、一人暮らしを始めると自由が手に入った。深夜になってもアパートの固定電話に出ない娘を心配した母が、大家さんに鍵を開けてもらうこともあった。また、一人暮らしの寂しさから、1カ月の電話代が1万円をこえたこともある。
 
新入生研修会では、数年前からSNSのIDを交換する学生が増えている。今年はLINEのIDを交換している学生が多いのが印象的だ。私の学生時代と違い、スマートフォンで交流できる便利な時代となった。スマホがあれば、母に心配をかけることも、通話料の請求を恐れることもなかったであろう。しかし、お互いの顔を見て話すのとは異なるコミュニケーションの難しさもある。交流を深める手段であるSNSがかえって、心の負担になってしまうのである。
 
新入生の皆さんは、そろそろ大学にも慣れたころであろうか。周りの様子が見えてきて、逆に不安になることもあるかもしれない。心から話せる友を大学で見つけることも大切であるが、学業の面などで困ったことがあれば、いつでも教職員に相談してもらいたい。私が女子学生のころ、凍りつくような冗談を投げかけてきた教授たちも、今となっては心配してくれていたのだとわかる。気の合う教員を見つけて話してみるといい。教員も、学生が話しかけてくれるとうれしいものだ。

(筆者は毎号交代します)

 
おぜき・ともこ 1967年東京都生まれ。東京工業大学理学部卒業、同大学院理工学研究科博士課程修了。博士(理学)。専門は機械学習など。