Column:Point Of View
2013年8月1日号
夏休みを有意義に過ごそう
情報理工学部情報科学科 尾関智子教授

先日、知り合いの高校1年生のお子さんが埼玉県から神奈川県の江の島まで自転車で出かけたという。母親の心配をよそに、展望台や生シラス丼、海水浴、温泉を思う存分堪能してきたらしい。しかも、翌日は元気に部活に出かけたというから驚きである。

私も大学生のとき、日本海の断崖絶壁で叫ぼうと、JRの時刻表を片手に各駅停車に揺られながら友達と新潟へ向かった。勘のいい読者ならおわかりだろうが、新潟といえば越後平野で、断崖絶壁などないことは到着してから気がついた。そこはリケジョ(理系女子)のご愛嬌ということでお許しいただきたい。各駅停車での長旅に、女子といえども会話が尽きてうんざりした。安宿の魚料理も期待したほどではなく、今後はお金をかけようと固く決心した。しかし、今となっては貴重ないい思い出だ。雑務や2人の子どもに振り回される毎日、いつも何かに追われ、ぼんやり考える時間や無駄に過ごす時間がない。

一方、今年中学生になった息子がスマートフォンのパズル系のアプリがやりたいと、毎日のようにせがんでくる。友達の「みんな」がやっていて会話もなく、とてもつまらないのだそうだ。子どもの言う「みんな」はたいていあてにならないが、電車の中の様子を見ているとあながちうそとは言いきれない。
 
今の子どもたちは小さなころからスマホを手にして、本当に幸せなのだろうか。友達との会話が極端に減るし、暇な時間を工夫して過ごす努力もいらない。断崖絶壁ツアーもスマホがあれば失敗しなかったかもしれないが、味気ないものになっていただろう。
 
学生たちにはこの夏休み、旅行に出かけたり、趣味を究めたり、ぼんやり空を眺めたり、学期中には決してできないことを夢中になってやってほしい。くれぐれもクーラーの利いた部屋で、一日中スマホやゲームにはまることだけはやめよう。ゲームプログラミングに挑戦してもいい。今だからできること、今しかできない失敗をして大人になってもらいたい。

(筆者は毎号交代します)