Column:Interview
2013年9月1日号
デフリンピック史上最多5つのメダルに輝く
水泳部 茨隆太郎 選手(体育学部2年)

デフリンピックとは、4年に1度開催される聴覚障害者のためのオリンピック。7月26日から8月4日まで行われた夏季デフリンピック競技大会ソフィア(ブルガリア)に、日本代表として参加した水泳部の茨隆太郎選手(体育学部2年)は、200メートル個人メドレーなど競泳6種目に出場し、5つのメダル(銀3、銅2)を獲得する活躍を見せた。 (構成・小野哲史)

4年前の台北大会では、200メートル背泳ぎで金メダルを獲得。茨選手は「2度目の出場となる今回は、たくさんの金メダルを取ることが目標でした。でも、あと一歩のところで負けてしまったレースが多かった」と振り返る。

それでもメダル5個は、個人が獲得したメダル数としてはデフリンピック史上最多。しかも「日本と比べてタイムが出にくいプールで、4種目で自己ベストを出せたことはとても自信になりました」と胸を張った。
 
東海大学では健聴者とともに講義を受け、水泳部でも他の部員と同じ練習をこなす。「授業は先生の話した内容をノートテイカーの方が入力してくれるパソコン画面を見ながら。水泳ではコーチやスタッフの話を仲間やマネジャーから聞いて取り組んでいます」。

もともとは背泳ぎが専門だったが、大学入学後に個人メドレーに転向し、今は課題の平泳ぎを強化している。平日の練習は朝6時前からの約2時間と、授業後の夕方から3時間前後。「練習がきつくて、授業中に眠くなることが少なくない」と笑うが、学業の成績が芳しくない者は試合に出られないという水泳部の方針により、勉強もおろそかにはできない。練習が休みの日曜日は自宅で「寝て過ごすことが多い」という。

加藤健志監督(体育学部非常勤講師)は、茨選手について「入学当初は練習でくじけることもあったけれど、最近は自己ベストがたくさん出て自分の成長を実感できている。デフリンピックという大きな目標も本人を燃えさせた」と語る。

次なる目標は9月6日に広島で開幕する日本学生選手権大会(インカレ)だ。6月に大学に入ってから初めて200メートル個人メドレーで自己ベストを更新した茨選手は、「デフリンピックではそれまでの自己記録を0・1秒更新する2分09秒29だったので、インカレではさらに2秒縮めたい」と意気込む。

ただ、仲間とともに挑むインカレも1つの通過点にすぎない。「2年後の世界大会、4年後のデフリンピックに向けて、一年一年、着実にステップアップしていきたい」。茨選手の「少しでも速くなりたい」という思いは強くなるばかりだ。

 
いばら・りゅうたろう 1994年東京都生まれ。中央ろう学校高等部(東京)卒業。
(写真上)200メートル個人メドレーで銀メダルを獲得した(提供=一般財団法人全日本ろうあ連盟)