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2013年10月1日号
祖父を描き学生絵画の頂点に
野村早佑実さん(菅生高校2年)

背丈より高い縦162センチ、横130センチのカンバスいっぱいに、年輪を刻んだ顔。菅生高校美術部の野村早佑実さん(2年)が祖父を描いた大作「時代」だ。「第63回全日本学生油絵コンクール」(学展)で総出展作品数1831点の中から見事、大賞を受賞。8月2日から10日まで、東京・上野の東京都美術館に展示された。

小学生から大学生までの学生美術の祭典として知られる学展は60年以上の歴史があり、版画家の池田満寿夫など多くの才能が輩出している。

「頑固な祖父の存在感を表現したかった」と野村さん。顧問の森田和昌講師は、「優れた描写力が白髪や皺の一本一本の描き込みに生かされた」と評価する。野村さんが絵を描き始めたのは、保育園のころ。サクランボの木を描き、先生に「すごいね!」と褒められたことがうれしかった。「本当は、実を描いていたら木全体を描きなさいと注意されて“よし、見返してやろう!”と頑張ったんです」

クレヨンから色鉛筆、水彩絵具、油絵具と成長とともに道具は変わったが、見かけによらぬ負けず嫌いは変わらない。そのエネルギーが、初めての大作挑戦ではじけた。「日本一」の栄冠に家族は皆、喜んでくれたが、「祖父はまだ見ていないので、褒めてくれない」。でも、そんな祖父が大好きだという。「表現の世界をもっと広げたい。自分にしか描けないものをずっと描き続けたい」