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コラム

2013/11/01
文系・理系の枠にとらわれず、先生方の専門分野や活動から共通テーマについて考察。文理融合の精神が生きる東海大学の教育・研究を発信します
(Back Number掲載中)

「健康・スポーツを語る」⑦

国際文化学部地域創造学科 新出昌明 教授

地域とともにスポーツを“創る”
季節ごとにイベントを開催


皆さんは、スポーツとどのような付き合い方をしていますか? スポーツは、音楽や美術のような芸術活動とよく似た付き合い方ができるものです。絵を描いたり、楽器を弾いたりすることは、自らが活動するという点でスポーツをすることと同じです。コンサートホールで音楽を聴いたり、美術館で絵を鑑賞したりすることは、他人のパフォーマンスを見るということから、スポーツを観戦するのと同様の活動です。

芸術活動に象徴される「文化」は、「人間が生きていくための工夫の蓄積と学習によって伝達されるもの」であり、スポーツも「文化」の一つです。生活を充実させ彩るために、人類は音楽や美術、そしてスポーツを創ってきたのです。「文化」は、生活を豊かにするものであり、そのための選択肢なのです。

人とスポーツのかかわりには、「スポーツを手伝う」活動もあります。つまりスポーツ分野のボランティア活動であり、「スポーツボランティア」という言葉も一般的になってきました。市民マラソン大会のボランティアがその例で、荷物の預かりや誘導、吸水、救護などで活躍しています。

競技大会の運営を支えているという意味で「支えるスポーツ」という言い方が定着しています。私は、ボランティアとしてかかわる人たちの主体性を尊重して「手伝うスポーツ」という言葉を使っています。

また、ボランティアの活動によってスポーツを行う・見る機会を創るという意味から、「創るスポーツ」と呼んでいる人もいます。私の所属する地域創造学科(札幌校舎)では、大学の存立する地域と連携しながら、スポーツの機会を創る活動(スポーツイベントづくり)を展開しています。初夏には、「ラベンダーまつり」の中でニュースポーツや伝承遊びを紹介・体験するコーナーを設けて、来場者にストラックアウトやスナッグゴルフ、竹馬、こま回しを楽しんでもらっています。また冬になると「スノーフェスティバル」を開催し、チューブ滑り、雪合戦、雪上パークゴルフなど、雪を積極的に使ったイベントを実施しています。
 
大学は地域の中にあるわけですから、地域に愛される存在でなくてはならないことは、言うまでもありません。このような地域のイベントは、その土地の風土・歴史に合った、地域の住民が必要としている内容であることが重要です。それを実現するために、町内会やまちづくり協議会、地区センターの人たちと話し合いながらイベントづくりをしています。

各イベントの実行委員会に学生を巻き込むことで、教室の中だけでなく、地域の中で学生を育ててもらい、市民サービスを学習する授業(サービスラーニング)を展開しています。季節ごとにイベントを開催することが、現在の目標です。

 
(写真)スノーフェスティバルでの1コマ。札幌校舎の中につくったコースで、学生のサポートのもと子どもたちが「チューブ滑り」を楽しんだ


しんで・まさあき 1957年東京都生まれ。東海大学体育学部卒業。東海大学大学院体育学研究科修了。専門はスポーツ経営学。日本体育・スポーツ経営学会、日本体育学会などに所属。著書に『スポーツボランティアハンドブック』(明和出版)などがある。

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