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特集

2014/02/01
教育の現場から
話題の授業や地域・企業と連携した課外活動など、東海大学の特色ある教育現場に迫ります。

観光学部1期生が間もなく卒業

意欲的なキャンパスライフで何を学び、どんな力を得た?

2010年度に新設された観光学部から、この3月に1期生約240人が卒業する。多角的視野と総合的思考力を持ち、観光産業界で活躍できる人材の育成を目指した学部で、学生たちは何を学び、どのような力を得て社会へ挑むのだろうか――4年生3人が語り合った。 (構成・編集部)

出席者 ■杉山優花さん ■滝澤啓貴さん ■柳川幸司さん

──皆さんはなぜ観光学部を選んだのですか?

滝澤 付属第三高校の3年時に進路を決める際、サービス業に興味があった僕に先生が勧めてくれたのが観光学部でした。将来に向けたビジョンを持って勉強できるのではと期待しましたね。
杉山 私も付属高校の出身です。母校の相模高校は、将来的にどんな進路でも幅広く選べる東海大学の付属ということで選んだんです。その高校時代に心理学に興味がわいて、旅も好きだから“観光心理”が学べる観光学部を選びました。新しくできる学部ということで、1年目の新鮮さも魅力でしたね。
柳川 ホテルのフロントに憧れて、一般入試で受験しました。実習や研修のプログラム数が圧倒的に多く、実社会にいち早く触れられるかな、と思って。

──授業や実習は期待どおりでしたか?

柳川 現実を知ることができるという面で、有効でしたね。フロントマンとして、ずっとお客さんとかかわりたいと思っていたんです。でも、学部で実施しているホテル研修に参加して現場の方にお話を聞くと、最初の4、5年はフロントに立つけれど、以降は営業など裏方に回ることが多いと……ホテルだけが進路じゃないな、と視野を広げるきっかけになった。
滝澤 接客業志望の僕は、ANAで客室乗務員をされていた舘野和子教授の「ホスピタリティー論」が印象に残っています。
杉山 舘野先生の授業は“人の話にじっくりと耳を傾ける”“相手にほほえみかける”とか、おもてなしのときに大切なポイントを教えてくれました。当たり前のことかもしれないけれど、実際に現場で働いていた先生の経験談を聞けたことがうれしかったよね。

──観光学部は東海大で唯一、在学中にメーンの校舎を(1期生は3年次春学期から、2期生以降は2年次秋学期から)湘南から代々木に移すことになります。戸惑いはありませんでしたか?
滝澤 東京の都心に近づいて、アルバイト先も都内に変わったことで、進路を考えるうえで得たものは多いですね。
杉山 私は藤沢市の実家から通学しているので、湘南でも代々木でも所要時間はあまり変わらなかった。湘南で入っていたサークルを離れるのは寂しかったけれど、代々木は同じ小田急沿線にあるから、友達付き合いを続けられてます。
柳川 通学面では、埼玉県から湘南まで通っていた僕はメリット大でしたね(笑)。また、広大な湘南から観光学部生だけの代々木に移ったことで、仲間意識が強まったかな。
滝澤 就職活動でも、みんなが身近にいるからすぐに情報交換できたし、刺激も与え合えた。
杉山 就活といえば、代々木校舎独自のキャリア支援行事も多くて、とても助かったよね。私たちの多くが志望する観光業界に特化した説明会で詳しい話を聞ける機会もあって、代々木に移ったメリットを生かせたと思います。

──1期生として意欲的なキャンパスライフを送っていた様子ですね

柳川 先生方も積極的で、毎年何かしらイベントがありました。研修や留学、観光地の振興案を考えるコンペなんかにも参加したり。用意されたものを拾うか無視するかで、充実具合はそれぞれ違うんじゃないかな。
杉山 そうそう、選択肢が広いのが私たちの学部の特長。海外研修ではデンマークに行きましたが、こういった機会がないとなかなか行ける場所ではないので、恵まれていると思います。
滝澤 本当にチャンスが多い。夢を実現するために、自分に合ったものを見つけられる場所です。

──もうすぐ卒業を迎えるわけですが、自分自身でどのような力を得たと感じていますか?
杉山 私の場合は、付属高出身の1期生ということもあり、オープンキャンパスや母校、大学関係者の前で学部での学びについて発表する機会が多かった。自分が何をしてきたのか話すことで、物事を人に伝える力がついたと思います。
柳川 自分はこの4年間、留学や研修、アルバイトなども含めて、どんなに忙しくても後悔なく時間を使おうと意識していました。最近、周囲から“変わった”と言われるんだけど、自分自身が成長できたのかな?
滝澤 僕は大学生活を通して、自発的になれたかな。何をするにも人の目ばかり気にして、尻込みしていた。でも、大学生活の中のチャンスを生かそうと動いていくことで、マイナスをプラスに捉えられるようになっていった。社会に出て、必ず生かせると思います。

(写真上より)
▽サービス業志望の念願かない、ブライダル関連企業に進む滝澤さん。就職後は結婚式のプランニングなどを担当する
▽インターンシップで空港のグランドハンドリング(地上業務)を知ったという杉山さんは、ANAの関連企業に就職
▽ホテル業から視野を広げ、旅行会社への就職を決めた柳川さん。法人向け営業で団体旅行などを担当する予定だ

 
観光学部生4年間の歩み
●2010年4月
新入生を対象とした初の研修会を実施。湘南校舎近隣の観光地について知るとともに、教員や同級生との親睦を深めることを目的とした。全員が参加しての地引き網体験や、伊勢原・平塚・秦野の3組に分かれ、寺社仏閣などの観光地や観光資源を巡った。

●2011年6月
観光学部生で結成したサークル「TGC」が、湘南校舎に近い秦野市蓑毛地区で初のイベント「緑水庵Cafe」を開催。観光学部が地域振興に協力している蓑毛地区から、地域活性化につなげたいと要望されたもの。ほかにも蓑毛地区活性化に向けて、学生たちはさまざまな取り組みを展開している。

●2012年4月
代々木校舎では初となるガイダンスを開いた。湘南校舎で全学共通の教養教育科目や、本学部の専門基礎科目を学んできた1期生たち。交通や宿泊・旅行業など観光分野にかかわる企業が集まる東京都心に近い代々木に移り、その立地を生かしたより高度で専門的な科目を学んだ。2期生からは2年次秋学期から移動している。

●2012年11月
観光学部生が代々木校舎に来て初めての建学祭を開催。58回にわたって行われてきた伝統を受け継ぎつつ、観光学部らしさを出そうとテーマを「GLOBE&GLOVE~0泊で味わう観光の魅力はこれだ!!~」と掲げた。全研究室が参加して、ゼミ合宿の成果なども発表した。

●2013年3月
観光学部の女子学生有志が、貸し切り観光バスで湘南校舎のある平塚市内を巡るイベント「心もおなかも大満足 平塚ぐるりバスツアー」を実施した。市民対象のモニターイベントとして、市内の旅行会社から日帰りバスツアー商品として販売。学生10人が29人の参加者をガイドした。

●2013年9月
観光学部生によるチャレンジセンター・ユニークプロジェクト「YOYOG Leisure Frontier」(YLF)が、宮城県女川町などで「出張よょさんぽ」と題したイベントを開催。東日本大震災による避難生活が続く地域の活性化につなげるため、人々が集う機会をつくろうと企画した。

 
学部長に聞く
教育研究のレベルアップを図り、社会で活躍できる人材を輩出する
観光学部 松本亮三 学部長

観光学部では2010年度の設立以来、「観光文化」「サービス・マネジメント」「レジャー・レクリエーション」「地域デザイン」と4つの柱を立てて教育研究に取り組んできました。また、1年次で「ファーストイヤーセミナー」、2年次に「プレセミナー」を設置。3年次からは各教員のゼミに学生を所属させ、卒業論文の完成に向けた指導を展開しています。

間もなく1期生が卒業を迎えますが、多くの学生がすでに進路を決めています。交通産業や宿泊業、旅行業、多様なサービス産業など観光関連の企業に進む学生のほか、来年度から大学院文学研究科に新設される観光学専攻への進学者もおり、一定の成果を残したといえるでしょう。本学部は他大学の観光系学部と比較して、扱う分野が幅広いことが特長ですが、この枠組みが本学の観光教育活動として評価を得てきたと考えています。

学生たちは皆、授業はもちろん実習や課外活動などさまざまな活動に対して、熱心に取り組んでいます。特に1期生は、「自分たちで道を切り拓いていく」という気概、意欲を持って大学生活を送ってくれました。たとえば、卒業論文の作成や就職活動を見ても、頼れる先輩がいないためノウハウなどを聞くことができない。それでも“自分たちがやらないと”と、さまざまな事柄に関心を持ち、一生懸命やってくれたと思います。

1期生を社会へと送り出すことを一つの節目として、今後とも教員間の連携を深め、教育研究のいっそうの充実を図っていく考えです。さまざまな背景、専門を持つ教員が学生たちと協力して互いにレベルアップしていくことで、社会で活躍できる人材を一人でも多く輩出したいと、決意を新たにしています。

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