Column:本棚の一冊
2014年2月1日号
『15分あれば喫茶店(カフェ)に入りなさい。』


ピンチのときこそ雑音が頼りです
工学部動力機械工学科 押野谷康雄 教授



皆さんはどこで勉強すると集中できますか? 自宅の部屋、友達の家、それとも図書館?、やはり授業教室でしょうか。最近、小生は喫茶店を愛用しています。『声に出して読みたい日本語』などで有名な齋藤孝先生の本『15分あれば喫茶店(カフェ)に入りなさい。』に出会うまでは、ほとんど行く機会はありませんでした。しかし、この本に出会って以来「どうしても集中したいとき」、すなわち原稿の締め切りなどがギリギリでピンチのときは必ず喫茶店に駆け込んでいます。
 
この本は、1章「喫茶店タクティクス」入門、2章「みんな喫茶店で勉強して賢くなった」、3章「タイプ別『喫茶店』利用法」といった構成で、喫茶店でコーヒーを飲みながら気軽に読める本です。仕事を効率的にこなすためのビジネス書をよく読みますが、齋藤先生の切り口は驚きの連続でした。喫茶店がこれほど便利なところとは知らずに半世紀も生きてきたことを、今さらながら後悔しています。この原稿も、スタバで甘いホワイトモカを飲みながら執筆中です。
 
「心理工学」といった複合領域の研究をしている小生としては、なぜ喫茶店で集中できるのかとても興味深いところです。喫茶店のBGMや多くの人の話し声は、混ざり合うことで無意味な雑音に近くなります。この雑音によって関心のある話などがあっても、その話し声には脳が働かなくなり集中できるわけです。雨も同様の効果があるようです。
 
さて「喫茶店はお金がかかる!」という学生さんには、自宅を喫茶店のように優良な雑音で満たすことができる「Rainy Cafe」というサイトをご紹介します。まさに「雨のカフェ」は、カフェと雨の音を一緒に再生してくれます。カミナリの音まで入っていてかなりの臨場感です。自宅で仕事をしているときにテレビの音がちょっと気になる場合などに役立っています。
 
齋藤先生ご推薦の「喫茶店」はもちろんのこと、電車やバスなど皆さんにとって優良な雑音を聴ける場所をぜひ探してみてください。静寂の図書館が一番! という方も一度お試しください。集中できる空間を持っていると、いつか「助かった」と思えるときが来ると思います。定期試験、資格試験、そして就職試験にも「雑音」はきっと頼りになるはずです。なお「喫茶店」は、お店や他の利用者の迷惑にならない範囲で利用することも大切ですね。念のため。

『15分あれば喫茶店(カフェ)に入りなさい。』
齋藤孝著
(幻冬舎)

 
おしのや・やすお 1963年東京都生まれ。慶應義塾大学大学院理工学研究科機械工学専攻修了(工学博士)。専門は、制御工学・磁気工学・心理工学。