特集:東海大生200人に聞きました
2010年11月1日号
著作権について知ろう
「知らなかった」では済まされない

レポートや論文を書くために参考にした資料について、その出典を明らかにするのは、学生ならごく普通にやっていること。でも「なぜそれが必要なのか」と考えたことはあるだろうか。今回は遠い存在のようで実は身近な「著作権」について、東海大生200人の声を聞いた。

「著作権について、どの程度関心がありますか?」との問いに「関心がある」と答えた学生は50%、続いて「あまり関心がない」36%、「強く関心がある」9%、「まったく関心がない」5%という結果となった。著作権に関心がない学生の合計が41%というのは、日常的に多くの資料に触れる機会がある大学生としてはやや多い数字のように思える。


一方、「著作権について、どういうイメージがありますか?」との問いには「保護されるべき権利」88人、「知っておくべきこと」44人、「侵害しないように気をつける」41人と、上位3つが著作権に対して肯定的な意見となった。関心は低くても「守るべきもの」「知っておくべきもの」と考えている学生は多いようだ。ただ、「面倒なもの」25人、「難しい」24人と考える学生も多く、フリーコメントでも「詳しく知らないので戸惑うことが多い」(工学部1年・男子)、「どこまでが許される範囲なのかが分からない」(教養学部3年・女子)など、著作権について、知りたいがよく分からないという声が多く寄せられた。

私的用途であっても違法になるケースも

大学のパソコンでは使用が禁止されている「Winnyなどのファイル共有(交換)ソフトについてどう思いますか?」と質問したところ、「興味がない、または使ったことがない」学生が47%と約半数を占めた。「ウイルス感染と著作権侵害両方の危険があるので使用するべきではない」13%、「用途に関係なく使用するべきではない」12%と、使用するべきではないという意思を明確に示した学生もいた。しかし、「私的用途に限れば著作権は問題ない」20%、「ウイルス対策さえ万全であれば問題ない」8%と、ファイル共有ソフトを容認する学生も少なくない。

著作権法では、著作物が自由に使える条件の一つとして「私的使用のための複製」を挙げているが、違法著作物であることを知りながら音楽や映像をインターネット上からダウンロードする行為は、私的使用からは除外される。

また著作権法の新しい動きとしては、今年1月の法改正で、これまで禁止されていたウェブ上での違法コピーのアップロードに加え、ダウンロードして複製することも、権利侵害とみなされるようになった。私的用途であっても海賊版のCDやDVDを購入するのはもちろん、違法にコピーされたデータを交換したり、ダウンロードするのは違法となることを知っておこう。

著作権を侵害しない、されないためには、まずは「著作権とは何か」を知るところから始めてみてはどうだろうか。著作権に関する詳しい情報が掲載されている文化庁のサイト(http://www.bunka.go.jp/chosakuken/index.html)や新書など、まずは分かりやすく解説されたものを読んで、理解を深めよう。(構成・編集部)


豊かな明日のためのルール
法学部法律学科 田上麻衣子准教授

ネットワーク化やデジタル化が進み、私たちは膨大な情報に囲まれて生活しています。複製機器が一般に普及していなかったころに比べると、情報の利用は格段に容易になりました。しかし、情報の利用があまりに身近で簡単であるために、情報は自由に利用できると錯覚してしまいがちです。情報の創作者の中には、「みんなに自由に使ってほしい」と考える人もいますが、「きちんと対価を払ってほしい」と考える人もいます。情報を提供する人と利用する人の利益を調整するルールが知的財産法であり、その一つが著作権法です。

著作権法は二つの方法で著作者を保護しています。著作者には、自分の作品の利用方法を決定する権利が与えられており、対価がほしい著作者は、利用させる際に対価を受け取ることができます。個人的な利用や授業での利用などは一定の範囲で許容されますが、すべて自由ではなくいくつかの条件を満たすことが前提です。こうしたルールで著作権法は著作者の「財産」を守っています。

一方、著作者には、自分の意に反して作品を利用されない権利も与えられているため、無断で公表したり、作者の名前や内容を変えたりすることはできません。これにより、著作権法は著作者の「心」を守っています。このように著作者の「財産」と「心」を守ることで創作意欲を刺激し、文化を発展させることが著作権法の目的です。うっかり著作権を侵害しないために、また文化のより豊かな明日のために、著作権法に関心を持ってみませんか?

学生たちの声から

▶ レポートなどで教授に言われて参考文献名を記載しているが、それが著作権のためだという意識を持つ人は少ないと思う(健康科学部3年・女子)
▶ 音楽家や作家でないと、あまり関係がないと感じてしまう(文学部3年・女子)
▶ 大学生になってレポートを書く機会が増えて意識するようになった(教養学部1年・女子)
▶ 著作権侵害を断じて許さない。音楽はきちんとCDを買って聴いてほしい(文学部2年・男子)
▶ 著作権の侵害は大きな損害を生み、それにより経営が成り立たなくなっている業界も存在することを考えて行動するべき(農学部4年・男子)
▶ インターネットの発達に伴い、無防備で無警戒な人が目につくようになった(教養学部1年・男子)
▶ 動画配信サイトなど、ネット上での著作権の論争には皆が耳を傾ける必要があると思う。学校での著作権に対する意識改善の授業や、さまざまな呼びかけが必要だと思う(政治経済学部3年・女子)
▶ 他人に自分の作品を使われるのは嫌なので、著作権を守りたい(海洋学部3年・男子)
▶ 楽譜をコピーするときなどに面倒だと思う(法学部1年・女子)
▶ どういう権利なのかをしっかり知りたい(理学部4年・女子)
▶ レポートでの参考資料の記入が、どういう意味を持つのか分からない(情報通信学部2年・女子)